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2025-06-12

組織の3要素とは?経営を支える基本原則

はじめに:なぜ「組織の3要素」が重要なのか?

組織がうまく機能しない、チームの連携が取れない、ビジョンが浸透しない――その原因、多くの場合は「組織の基盤」ができていないことにあります。
中小企業においては、限られた人材と資源で最大限の成果を出す必要があります。そのためには、「組織とは何か?」という根本を理解し、組織の持続的な運営に欠かせない3つの要素を意識することが不可欠です。
本記事では、経営学者チェスター・バーナードが提唱した「組織の3要素」をわかりやすく解説し、実際に中小企業経営へどう活かすかを具体的にお伝えします。


組織の3要素とは何か?

チェスター・バーナードによる組織理論の背景

「組織の3要素」は、アメリカの経営学者チェスター・バーナード(Chester I. Barnard)が1938年に著した『経営者の役割(The Functions of the Executive)』の中で提唱された理論です。
彼は、単に指示命令や制度設計だけでは組織は成立しないと考え、「人間の協働関係」に焦点を当てた視点から、組織が成立・存続するために不可欠な3つの構成要素を次のように定義しました。

組織の3要素の定義

バーナードが定義した組織の3要素は以下の通りです。

  1. 共通目的(組織目的)
  2. 協働意思(貢献意欲)
  3. コミュニケーション

この3つが揃ってはじめて、組織は「生きた」ものとして機能します。どれか一つが欠けても、組織は空洞化・形骸化し、やがて崩壊へ向かいます。


組織の3要素の詳しい解説と実務への活用

1. 共通目的(組織目的)

共通目的とは何か?

共通目的とは、組織の構成員が共有する「目指すべきゴール」です。これがなければ、人は単なる集まりにすぎず、組織とは呼べません。

中小企業での具体例

例えば、製造業であれば「顧客満足度の高い製品を提供する」、飲食業であれば「地域一番店を目指す」といった明確なビジョンが共通目的にあたります。

目的の浸透がもたらす効果

  • 社員の行動指針が統一される
  • 無駄な業務が減り、生産性が向上する
  • 採用や教育の方針が一貫する

2. 協働意思(貢献意欲)

協働意思とは何か?

協働意思とは、組織の目的に向かって「自らの能力を提供しようとする意志」のことです。いわゆる「やる気」や「モチベーション」とも通じます。

なぜ協働意思が必要なのか?

いくら優れたビジョンがあっても、メンバーにやる気がなければ組織は動きません。特に少人数で構成される中小企業では、一人ひとりの貢献意欲が企業の成否を左右します。

意欲を引き出す仕組みづくり

  • 評価制度の透明化
  • 適切なフィードバックの導入
  • キャリアパスの提示
  • 経営者からの定期的な対話

3. コミュニケーション

コミュニケーションとは何か?

ここでいうコミュニケーションとは、単なる会話ではなく、「情報の正確な伝達と理解」を指します。命令系統や連絡手段、意思決定プロセスのすべてが含まれます。

中小企業でありがちな問題

  • 経営者の考えが現場に伝わっていない
  • 誤解や曖昧な指示で作業ミスが発生
  • 風通しが悪く、問題が表面化しない

円滑なコミュニケーションのための施策

  • 定期的なミーティングの実施
  • チャットツールや社内SNSの導入
  • 上下関係を越えたオープンな意見交換文化の醸成

3要素のバランスが組織の継続を左右する

組織の3要素は、三本柱のように均等に保たれる必要があります。例えば以下のような状態は危険です。

状況組織に起きる問題
共通目的が曖昧メンバーの行動がバラバラになる
協働意思が低い離職やサボタージュが発生する
コミュニケーション不足誤解・不満・生産性の低下

バーナードは「3つの要素のいずれかが欠けると組織は機能しない」と強調しました。特に、時間と共に劣化しやすいのが協働意思コミュニケーションです。継続的な改善活動が欠かせません。


組織の3要素を中小企業に取り入れるポイント

実務での活用ステップ

  1. 理念やビジョンを明文化する(共通目的)
  2. 従業員アンケートや1on1で意欲を可視化する(協働意思)
  3. 業務フローを見直し、情報伝達手段を改善する(コミュニケーション)

組織づくりのチェックリスト

  • 経営者の想いは社員に伝わっているか?
  • 評価制度は意欲を引き出せているか?
  • 報告・連絡・相談のルールは機能しているか?

まとめ:強い組織を作るには「基本」に立ち返ろう

中小企業経営においては、人材・資源・時間が限られるからこそ、「組織の3要素」による基盤づくりが最も重要です。
共通目的・協働意思・コミュニケーションという基本を見直すことで、社員の力を最大限に活かすことができ、変化の激しい時代でも生き残れる企業へと進化していけます。


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[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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