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2024-06-19

シェアードサービス

シェアードサービス(Shared Services)は、企業の効率化とコスト削減を目的とした経営手法の一つです。この手法では、グループ企業や企業内の異なる事業部に分散している人事・経理・総務などの間接業務を一ヵ所に集約し、標準化します。これにより、業務プロセスの効率化が図られ、人件費を含む運営コストの削減が実現されます。

シェアードサービスの概要

シェアードサービスの基本的な考え方は、企業全体のリソースを共有し、業務を効率的に管理することにあります。企業内の異なる部門やグループ企業が個別に行っていた間接業務を一つの拠点に集約することで、重複した業務や不必要なコストを削減します。この集約化により、専門的なスキルを持ったスタッフが集まり、業務の質が向上するだけでなく、最新の技術やベストプラクティスの導入が容易になります。

シェアードサービスのメリット

  1. コスト削減: 業務の集約化により、人件費、設備費、運営費の削減が可能となります。特に、大規模な企業ではその効果が顕著に現れます。
  2. 業務の効率化: 同じ業務を複数の部門で行うのではなく、一ヵ所で集中して行うことで、作業の重複を防ぎ、効率的な業務運営が可能となります。
  3. 専門性の向上: 集約された部門では専門的な知識やスキルを持ったスタッフが集中して働くため、業務の質が向上し、サービスの質も高まります。
  4. 標準化と統一化: 業務プロセスを標準化し統一することで、業務の透明性が高まり、管理や監査が容易になります。
  5. 柔軟性とスケーラビリティ: 企業の規模や業務量に応じて、リソースを柔軟に調整できるため、急な変化にも対応しやすくなります。

シェアードサービスの導入プロセス

シェアードサービスの導入は一朝一夕に実現できるものではありません。以下のステップが一般的な導入プロセスです。

  1. 現状分析と評価: 現在の業務プロセスとコストを詳細に分析し、シェアードサービス導入の効果を評価します。
  2. 戦略の策定: シェアードサービス導入の目的と目標を明確にし、どの業務を集約するか、どのように標準化するかを決定します。
  3. 計画と準備: 導入計画を詳細に立て、必要なリソースやシステムを準備します。この段階では、社員への教育やトレーニングも重要です。
  4. 実行と運用: シェアードサービスセンターを設立し、業務の集約と標準化を実施します。初期段階ではトラブルや課題が発生することが多いため、迅速に対応する体制を整えます。
  5. 評価と改善: 導入後の業務プロセスと成果を評価し、必要に応じて改善を行います。定期的なレビューとフィードバックが、シェアードサービスの成功に欠かせません。

シェアードサービスの課題と対策

シェアードサービスには多くのメリットがありますが、導入にはいくつかの課題も伴います。

  1. 抵抗と文化の違い: 異なる部門や企業間での業務の統合は、抵抗を招くことがあります。特に企業文化の違いが大きな障害となることがあります。 対策: 綿密なコミュニケーションと透明性の確保が重要です。また、社員の意識改革と新しい文化の受け入れを促すための教育やトレーニングも不可欠です。
  2. 初期投資の負担: シェアードサービスセンターの設立には、初期投資が必要です。このコストが大きな負担となる場合があります。 対策: 長期的な視点で投資回収計画を立て、段階的な導入を検討することで、初期投資の負担を軽減することができます。
  3. 技術的な課題: システムの統合やデータの共有には、技術的な課題が伴います。 対策: 最新のIT技術を導入し、専門的な知識を持つスタッフを配置することで、技術的な課題に対応します。また、外部の専門家の支援を受けることも一つの方法です。

シェアードサービスの成功事例

シェアードサービスを導入し、成功を収めた企業の事例をいくつか紹介します。

  1. GE(ゼネラル・エレクトリック): GEは、世界中のオペレーションを一元化し、シェアードサービスを活用して大幅なコスト削減と業務効率化を実現しました。これにより、経理業務の処理時間が大幅に短縮され、財務報告の正確性も向上しました。
  2. P&G(プロクター・アンド・ギャンブル): P&Gは、グローバルに展開する各地域の間接業務を集約し、シェアードサービスセンターを設立しました。これにより、業務の標準化が進み、コスト削減と品質向上が達成されました。
  3. トヨタ自動車: トヨタは、日本国内外の複数の拠点でシェアードサービスを導入し、人事・経理業務の集約化を進めました。これにより、業務の効率化とコスト削減だけでなく、従業員のスキルアップにもつながっています。

まとめ

シェアードサービスは、企業の間接業務を集約・標準化することで、コスト削減と業務効率化を実現する有効な手法です。導入には時間とリソースが必要ですが、その効果は大きく、長期的な経営戦略として多くの企業で採用されています。企業が持続的に成長するためには、シェアードサービスの導入を検討し、実行に移すことが重要です。

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