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2024-07-16

人事考課

人事考課は、企業において上司が部下の能力、業績、勤務態度・意欲を評価するプロセスを指します。官公庁では勤務評定とも呼ばれ、企業の人事管理における基盤となる重要な活動です。人事考課を通じて、社員の昇給や賞与、昇進・昇格の決定、さらには配置・異動、教育訓練などが行われます。

人事考課の歴史

起源と進化

人事考課の概念は、19世紀から20世紀初頭にかけてアメリカの政府機関で開発されました。その後、第一次世界大戦後に民間企業にも普及し、日本における本格的な導入は1950年代以降です。現在では、多様な評価主体、要素、手法、手続きが存在し、企業のニーズに応じた様々な評価制度が展開されています。

人事考課の目的

昇給、賞与、昇進の決定

人事考課の主な目的は、社員の昇給や賞与、昇進の決定です。これらは社員のモチベーションに直結するため、適切かつ公正な評価が求められます。

教育訓練の計画

評価を通じて明らかになった社員の強みや課題をもとに、適切な教育訓練プログラムを計画することができます。これにより、社員のスキルアップを図り、企業全体の業績向上につなげることが可能です。

評価要素と評価基準

具体的な設定方法

評価を実施するうえでは、あらかじめ評価要素と評価基準を明確に設定することが重要です。例えば、業績評価の場合は達成された仕事の質と量が評価要素となり、それを評価する基準は事前に設定された達成目標となります。

評価手法の種類

図式評定尺度法

各評価項目ごとに評価段階を表す目盛りのついた尺度を設け、該当する箇所をチェックする方法です。評価者が客観的に評価しやすく、比較的簡単に実施できる点がメリットです。

チェックリスト法

プロブスト法とも呼ばれ、勤務における態度や行動の特性を列挙したチェックリストを用意し、被評価者の実際の行動を観察して該当する項目をチェックする方法です。

目標管理法

一定期間の職務遂行にかかわる具体的な目標を設定し、その達成度によって業績を評価する方法です。この手法は社員の自主性を尊重し、目標達成意識を高める効果があります。

評価者が陥りやすい誤りとその対策

ハロー効果

ハロー効果(後光効果)は、被評価者のある特定の事態や時点における強い印象が全体的な評価に影響を与えることです。この誤りを避けるためには、評価者の複数化や評価者の訓練が有効です。

他の評価バイアス

他にも、評価者の個人的な感情や先入観が評価に影響を与えることがあります。これらの誤りを防ぐために、評価基準の明確化や評価プロセスの透明性を確保することが重要です。

公正な評価運用のための取り組み

客観性と公正さの確保

人事考課の制度とその運用には、従業員の納得が得られるような客観性や公正さが求められます。評価要素や基準の公開、評価結果のフィードバックはその一環です。

フィードバックと異議申立ての権利

評価結果は被評価者にフィードバックされ、労働者側の発言権や異議申立て権を保証することが重要です。これにより、評価の透明性が高まり、社員の信頼を得ることができます。

まとめ

適切な人事考課は、企業の成長と社員のモチベーション向上に不可欠です。経営層は評価基準の明確化や公正な運用を心がけ、社員の信頼を得ることが重要です。今すぐ、貴社の人事考課制度を見直し、評価プロセスの透明性を高める取り組みを始めましょう。

人事考課に関する詳細なガイドラインや専門的なアドバイスが必要な場合は、ぜひ私たちにご相談ください。貴社の人事考課制度の改善を全力でサポートいたします。

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