「年収の壁」を読み解く3~103万円の壁
はじめに
アルバイトやパートタイムで働く人たちが「年収103万円の壁」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。この壁は、103万円を超えて稼ぐと税金がかかるというルールのことです。特に高校生や大学生がアルバイトをする際に重要なポイントになるので、わかりやすく説明します。
年収103万円の壁って何?
所得税がかかる仕組み
日本では、年収が103万円以下なら所得税がかかりません。でも、103万円を超えるとその超えた部分に税金がかかります。例えば、年収105万円だと、103万円を超えた2万円に税金がかかるということです。
社会保険の壁とも関係がある
もう一つの壁として、年収が130万円を超えると社会保険に加入する必要が出てきます。この場合、保険料を払わないといけないので、稼ぐお金が増えても手取りが減ることがあります。
扶養控除との関係
親の扶養に入っている場合、16歳未満の兄弟や子どもがいると扶養控除という仕組みが使えます。具体的には、16歳未満の子ども1人につき一定額の控除が適用され、親が支払うべき税金が減る仕組みです。この控除は、家計の負担を軽減する重要なポイントとなります。
子どもがたくさん稼ぐとどうなる?
扶養されている子どもが年収106万円を超えると、扶養控除が受けられなくなります。例えば、扶養控除額が38万円の場合、この控除が適用されなくなることで、親が支払う税金が10%の税率で計算されると約3万8000円の負担増となります。たとえば、年収107万円の子どもがいる家庭では、このような税金増加が発生する可能性があります。
どうして年収103万円の壁が問題になるの?
アルバイト時間を減らさないといけない
壁を意識することで、「これ以上働くと損をする」と思い、アルバイトの時間を減らす人がいます。その結果、お店や会社では忙しいときに人手が足りなくなることがあります。
みんなが自由に働けない
103万円の壁があると、働きたい時間や日数を自由に選べない人が増えます。特に学生や主婦にとって、働く選択肢が減るのは不便です。
管理が大変になる
企業側も、従業員が103万円を超えないようにシフトを調整する必要があり、それが手間になります。結果として、会社の運営にコストがかかることもあります。
どうすれば解決できる?
稼ぐメリットを伝える
壁を超えて稼ぐ場合のメリットをしっかり伝えることが大切です。たとえば、「税金がかかっても、トータルでは手取りが増えるよ」という情報を共有します。具体的には、103万円を超えて稼いだ場合でも、たとえば月に1万円の追加収入が得られれば、年間で12万円の増加となり、税金を差し引いても全体の収入が増えることを示せます。また、壁を気にせず働いたことで昇給やスキルアップのチャンスが広がったケースもあります。
時給を上げる
アルバイトの時給を上げることで、働く時間を減らしながら収入を増やすことができます。たとえば、ある店舗では時給を1000円から1200円に引き上げた結果、従業員は1週間あたり2時間の労働時間を減らしながら、月の収入が約1万6000円増加したという成功例があります。これなら壁を意識しすぎなくて済みます。
正社員への切り替え
希望する人には正社員として雇用することで、壁を気にせず安定した収入を得られる環境を作れます。
まとめ
年収103万円の壁は、働く人や雇う側にさまざまな影響を与えます。ただし、制度を正しく理解し、適切な対策を取ることで問題を軽減できます。もし自分がこの壁の影響を受けそうだと感じたら、家族や会社に相談してみましょう。