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2025-03-07

解雇の事由とは?

解雇のルールとリスク

はじめに

経営者にとって、従業員の解雇は慎重に判断すべき重要な決定事項です。日本の労働法では、労働者の権利保護を目的としたさまざまな規制が存在し、解雇の適法性を確保しなければ、法的リスクに直面する可能性があります。本記事では、解雇の事由について詳しく解説し、経営層が押さえておくべきポイントを整理します。

解雇の基本的なルール

解雇の種類

解雇には大きく分けて以下の3つの種類があります。

  1. 普通解雇 – 労働者の勤務態度や能力不足などを理由にするもの
  2. 懲戒解雇 – 労働者の重大な違反行為(横領やハラスメントなど)により行うもの
  3. 整理解雇 – 経営不振や業務縮小などの経営上の理由によるもの

解雇の法的要件

労働契約法第16条では「解雇権の濫用禁止」が定められており、解雇が無効とされるケースもあります。そのため、解雇の正当性を確保するためには、以下の要件を満たすことが求められます。

  • 客観的合理性があること(業務上の必要性や労働者の著しい非行など)
  • 社会的相当性があること(労働者の状況を考慮し、合理的な判断がなされているか)
  • 解雇回避努力を尽くしていること(配転や降格などの代替措置を検討したか)

普通解雇の具体的な事由

勤務態度の問題

  • 業務命令に従わない
  • 長期間の無断欠勤
  • ハラスメントや社内ルール違反

能力不足

  • 業務遂行能力が著しく低い
  • 研修や指導を行っても改善が見られない

健康上の問題

  • 長期療養が必要で復職の見込みがない
  • 業務に支障をきたす深刻な病状

懲戒解雇の事由とリスク

重大な非行

  • 業務上の横領・詐欺・背任行為
  • 重大なコンプライアンス違反
  • 顧客情報の不正流出

企業秩序の破壊

  • 職場での暴力行為
  • 違法薬物の使用
  • 会社の信用を著しく毀損する行為

懲戒解雇は最も重い処分であり、労働者のキャリアにも重大な影響を及ぼします。そのため、懲戒解雇を行う際は、就業規則に明確な規定があるかを確認し、適切な手続きを踏むことが不可欠です。

整理解雇の要件

整理解雇を適法に行うには、以下の4要件を満たす必要があります。

  1. 人員削減の必要性 – 会社の経営状況が悪化し、やむを得ず解雇をする必要がある。
  2. 解雇回避努力義務 – 希望退職募集や業務委託化など、解雇を回避するための措置を講じたか。
  3. 解雇対象者の選定基準 – 公正かつ合理的な基準に基づいて対象者を選定したか。
  4. 手続きの適正性 – 労働組合や従業員への説明・協議を行ったか。

解雇における注意点とリスク回避策

解雇が無効とされるケース

  • 解雇理由が明示されていない
  • 就業規則に則った手続きを経ていない
  • 労働者に対する十分な説明がなされていない

リスク回避のための対策

  • 適切な人事評価制度の運用
  • 就業規則の整備と定期的な見直し
  • 解雇前に十分な指導と改善機会を提供

まとめ

解雇は企業にとって避けて通れない問題ですが、法的要件を満たさずに行うと、訴訟リスクや労働紛争に発展する可能性があります。経営層としては、解雇の事由を明確にし、適切な手続きを踏むことが不可欠です。事前にリスク回避策を講じ、トラブルを未然に防ぐことで、企業経営の安定を図りましょう。

適切な解雇の実施に関してお悩みの経営者様は、ぜひ専門家に相談してください!

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