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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-04-09

「ひらめき」を生むKJ法とは?

はじめに:情報過多の時代に必要な「思考整理術」

ビジネスの現場では、日々多くの情報が飛び交い、課題やアイディアが山のように積み重なります。特に中小企業経営者や個人事業主にとっては、限られたリソースの中で的確な意思決定を下すことが求められ、情報の整理と本質の見極めが極めて重要です。

そんな中、注目されているのが「KJ法(ケージェイほう)」という思考整理の手法です。

本記事では、KJ法の基本的な考え方から実践方法、そして中小企業経営にどう役立てるかまで、わかりやすく解説します。


KJ法とは?:創造的思考を可能にする問題解決手法

KJ法の起源

KJ法は、東京工業大学名誉教授である川喜田二郎氏によって開発されました。彼の名前のイニシャル「KJ」からこの手法は名付けられています。

KJ法の目的と特徴

KJ法は、「一見バラバラに見える情報群から、新たな意味やアイディアを導き出すための方法」です。情報をカードに書き出し、それを分類・統合することで、問題の本質や解決の糸口を発見できます。

KJ法の特徴:

  • 情報を視覚的に整理できる
  • グループでのディスカッションに向いている
  • 直感と論理をバランスよく使える
  • 創造的なアイディアを導き出せる

KJ法の4つのステップ:実践的な進め方

Step1:情報をカードに書き出す

まずは、思いついたこと、事実、意見、疑問など、関係しそうな情報を**1枚1項目ずつカード(または付箋)**に書き出します。

ポイント:

  • 具体的な内容にする(例:「売上が昨年比20%減」)
  • 主語と述語を明確に
  • ネガティブな情報も含める

Step2:グルーピング(分類)する

書き出したカードを机や壁に並べて、意味的に関連するもの同士をグループ化します。

ここでのコツ:

  • グループ名はあとでつけてもOK
  • 少数で強引にまとめすぎない
  • 同じ情報が複数グループに入っても良い

Step3:ラベリング(名前をつける)

できたグループに、それぞれ簡潔で意味のあるタイトルをつけます。

例:

  • グループ:「広告効果が出ない」「SNSの運用が雑」「チラシの配布量が少ない」
  • ラベル:「マーケティング手法の課題」

このステップで、情報が「単なる事象」から「課題のかたまり」に変わります。

Step4:構造化する(図解・文章化)

グルーピングされた情報同士の関係性を見つけて、図や文章で構造化します。ここで、「なぜこうなっているのか?」「どうすれば改善できるのか?」といった仮説やアイディアを考えます。


KJ法が中小企業に効果的な理由

1. 限られた人数で深い議論が可能

中小企業では、部署ごとの壁が薄く、関係者が全体を見渡しやすい環境です。KJ法は少人数でも効果を発揮するため、経営者と現場の対話を活性化するのに向いています。

2. 多角的視点を引き出せる

社員の感じていること、顧客からの声、財務データなど、異なる種類の情報を統合できるのがKJ法の強みです。バラバラだった視点が一つのストーリーにまとまる感覚を得られます。

3. 課題の「本質」にたどりつける

問題解決の際に、表面的な対応だけで終わってしまうことは多々あります。KJ法は、「なぜそうなったのか?」を掘り下げて整理するため、根本原因の特定と長期的な改善策の立案が可能です。


KJ法を活用したケーススタディ:販促改善の例

課題:売上が伸び悩んでいる

Step1:情報の洗い出し

  • チラシの反応率が低い
  • リピーターが減少
  • SNSの更新頻度が少ない
  • 顧客層が広すぎて焦点がぼけている

Step2:グルーピング

  • 「顧客との接点」
  • 「情報発信の頻度」
  • 「ターゲット設定」

Step3:ラベリング

  • 「集客チャネルの見直し」
  • 「顧客理解の不足」

Step4:構造化・仮説立案 →「既存顧客に向けた施策が弱い」「ターゲティングが曖昧なため、販促の方向性が定まらない」

導き出された解決策:

  • 既存顧客向けのクーポン施策
  • SNSを使った定期的な情報発信
  • ペルソナ設計をやり直す

KJ法を成功に導くコツ

全員が意見を出しやすい環境を作る

発言しやすい空気感が大切。ヒエラルキーを持ち込まないように注意しましょう。

手書きにこだわる

デジタルでも可能ですが、手書きのほうが記憶に残りやすく、直感的な操作が可能です。

時間をかけすぎない

集中力が続く範囲(90分〜2時間程度)で一度区切るのがポイントです。


KJ法を使ってみたい方へ:まずは小さく始めてみよう

KJ法は、難しい道具や特別なスキルがなくても始められる手法です。初めての方は、1つの小さなテーマで構いません。

例えば、

  • 今月の売上が下がった理由を分析する
  • 新しいサービスの企画アイディアを出す
  • 社内のコミュニケーション課題を整理する

といった、身近なテーマでKJ法を試すところからスタートしてみましょう。


まとめ:KJ法で「考えを形に」しよう

情報が多すぎて整理できない、議論が空回りしてしまう——そんなときこそ、KJ法は強力な味方になります。

中小企業の経営や個人事業において、限られたリソースの中で本質的な課題にアプローチし、創造的なアイディアを導き出すKJ法は、非常に有効なツールです。

手軽に始められて、効果も実感しやすいKJ法。まずは一度、試してみませんか?

👉 KJ法を取り入れて、会議の質をアップさせましょう!
まずは「ふせん」と「ペン」を用意して、小さなテーマから始めてみてください。社内でのアイディア出しや課題整理に新たな風が吹くかもしれません。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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