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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-05-07

休日手当とは?経営者が押さえるべき基礎知識

はじめに:休日手当、対応できていますか?

「休日出勤した社員にどれくらい手当を支払えばいい?」「法律上、休日手当ってどこまで必要なの?」
中小企業経営者や個人事業主の皆さんにとって、労務管理は避けて通れない重要テーマです。なかでも「休日手当」は、労働基準法に関わる重要な報酬項目。対応を誤ると法令違反となり、労使トラブルや行政指導のリスクもあります。

本記事では、「休日手当」の定義から、法定ルール、実務対応のポイント、よくある誤解までを徹底解説。法律に沿った適切な支払いのために、今すぐ確認しておきましょう。


休日手当とは何か?

所定休日と法定休日の違いを正しく理解する

休日手当を理解するうえで欠かせないのが、「所定休日」と「法定休日」の違いです。

  • 法定休日:労働基準法で「毎週少なくとも1回(または4週間に4日)」与えることが義務付けられた休日。
  • 所定休日:会社が就業規則等で独自に定めた休日。法定休日とは別に設けられることが多い。

例えば、「日曜を法定休日、土曜を所定休日」と定めている企業もあります。この違いを押さえることで、どの休日にどのような手当が必要かが見えてきます。

休日手当の定義

休日手当とは、休日に労働した場合に支払われる、割増賃金等の手当を指します。

特に法定休日に勤務した場合には、通常の賃金に対して35%以上の割増率で支払う義務が生じます(労働基準法第37条)。一方、所定休日の労働は「割増義務」はありませんが、通常賃金の支払いは必要です。


法定休日に働いた場合のルールと注意点

法定休日労働の割増賃金率

労働基準法では、法定休日に労働させた場合、以下のような割増賃金を支払う義務があります。

  • 法定休日労働の割増率通常の賃金の135%以上

例えば、時給1,000円の従業員が日曜日(法定休日)に勤務した場合は、最低でも1,350円の時給が必要です。

代休と休日手当は別物

「代休を与えたから休日手当は不要」と誤解しているケースもあります。しかし、代休は休日手当の支払い義務を免除するものではありません

代休を与えることで「休息」は担保できますが、「法定休日に働かせたことに対する対価」としての割増賃金は別途必要になります。


所定休日に働いた場合の対応は?

割増賃金の支払い義務は原則なし

所定休日(例:土曜日)に労働させた場合には、割増賃金の支払い義務は法的にはありません。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 就業規則や労働契約に「休日労働は割増で支払う」と明記している場合は、企業側に支払い義務が発生します。
  • 所定休日でも、1週間の労働時間が法定の40時間を超えている場合は、その超過分に対しては時間外労働として割増賃金(25%以上)が必要です。

実務上は、手当支給をする企業が多い

従業員との信頼関係やモチベーションを考慮し、実務上は所定休日の労働にも手当を支払う企業が多くあります。


よくある休日手当の誤解とトラブル事例

「代休があるから手当は不要」はNG

前述の通り、代休と休日手当は別物です。代休だけでは法律上の支払い義務を果たしたことにはなりません。

「契約書に書いてないから払わなくてよい」は危険

労働基準法は最低限のルールです。契約書や就業規則に明記していない場合でも、法定休日に働かせたなら、必ず135%以上の割増賃金が必要です。


休日手当の計算方法と具体例

基本的な計算式

法定休日に勤務した場合の休日手当の計算式は以下の通りです。

休日手当 = 通常の賃金 × 1.35 × 労働時間

例:時給1,200円、法定休日に8時間勤務した場合

1,200円 × 1.35 × 8時間 = 12,960円

このように、1日だけでも通常の賃金より大きな金額が必要になるため、事前のシフト調整やコスト管理が欠かせません。


就業規則と36協定の整備も重要

36協定(時間外・休日労働に関する協定書)とは?

休日手当を支払う場合でも、法定休日労働をさせる際には36協定の締結と労基署への届出が必須です。未締結のまま休日労働をさせると、行政指導や是正勧告の対象となる可能性があります。

就業規則への明記を忘れずに

所定休日の取り扱いや休日手当の支給方法は、就業規則に明記しておくことで労使トラブルを防げます


中小企業・個人事業主が取るべき実務対応

1. 法定休日を明確に定義する

就業規則や雇用契約書において、法定休日と所定休日の区別を明記しましょう。

2. 勤務状況の記録を厳密に

休日労働が発生した際には、労働時間と労働日の記録を正確に残すことが大切です。

3. 支払い計算の自動化も検討

給与計算ソフトを活用すれば、休日手当の計算ミスを防ぐことができます。freeeやマネーフォワードなどのツールもおすすめです。

4. 社会保険労務士に相談する

手当の支払いルールや対応に不安がある場合は、専門家に相談するのが最も確実な方法です。


まとめ:休日手当の理解と整備は、労務トラブル回避の第一歩

休日手当は、企業にとって単なる「追加コスト」ではありません。
適切な支払いと制度整備によって、従業員の信頼を得て、健全な労務管理が実現できます。

特に中小企業や個人事業主は、少人数体制の中で柔軟な働き方を求められる分、制度の整備と実務対応が重要になります。今一度、自社の休日手当の運用を見直してみましょう。


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[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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