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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-05-09

企業年金とは?仕組みと導入メリットを徹底解説

はじめに

少子高齢化が進む日本では、公的年金だけに頼る老後設計はますます不安定になっています。こうした中、従業員の安心を支える「企業年金」の役割が重要性を増しています。特に中小企業や個人事業主にとっても、優秀な人材確保や定着を図るために企業年金制度の導入は大きな武器となり得ます。本記事では、企業年金の基本から、中小企業が導入する際のポイントまで、わかりやすく解説します。
企業年金の理解を深め、会社の競争力を高めましょう!

企業年金とは?

企業年金とは、企業が従業員のために独自に用意する老後資金制度のことを指します。公的年金(国民年金・厚生年金)にプラスして支給されるため、従業員にとっては老後の安心を厚くする重要なサポートです。企業にとっても、福利厚生の充実や人材確保に繋がる戦略的な仕組みとなっています。

🔹 ポイント
公的年金=国の制度、企業年金=企業が用意する上乗せ制度!


企業年金の種類と仕組み

確定給付企業年金(DB)

確定給付企業年金(DB)は、「将来受け取れる年金額」があらかじめ決まっている仕組みです。企業はその給付額を支払う責任を負い、運用リスクも企業側が負担します。

  • メリット:従業員にとって受給額が安定
  • デメリット:企業の財務負担が大きくなりやすい

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金(DC)は、「企業が拠出する掛金額」を確定する仕組みです。運用成果によって将来の受取額が変動し、リスクは加入者(従業員)が負います。

  • メリット:企業の財務負担が明確
  • デメリット:運用成績によっては従業員の受取額が減少するリスクあり

厚生年金基金(※旧制度)

かつて存在した厚生年金基金制度は、国の厚生年金の一部を代行しつつ、上乗せ給付を行う仕組みでした。しかし、財政悪化などから現在では縮小・解散が進んでいます。


企業年金の歴史と世界の動向

企業年金の起源は19世紀の欧米にさかのぼります。特に第二次世界大戦後、社会保障制度が確立され、企業年金は「公的年金を補完する制度」として発展しました。
一方、日本ではもともと「退職金=一時金」が主流でしたが、昭和30年代以降、アメリカに倣って企業年金の導入が始まりました。現在でも、欧米と比較すると年金形式ではなく一時金受給を希望する従業員が多い傾向がありますが、少しずつ企業年金導入の流れが強まっています。


中小企業における企業年金の必要性

中小企業でも企業年金の導入は重要です。

  • 採用市場で大企業と差別化できる
  • 従業員の定着率向上
  • 高齢社員の円滑な退職促進(人員の新陳代謝)

特に少人数でも利用できる「中小企業退職金共済制度(中退共)」や、少人数型の「iDeCo+」を活用すれば、手軽に企業年金を導入できます。


企業年金導入のメリット

従業員のモチベーション向上

老後に対する不安が軽減されることで、従業員は安心して現在の仕事に打ち込めるようになります。

採用力・定着率の強化

「企業年金あり」という福利厚生は、求職者に対して大きなアピールポイントとなります。社員の流出防止にもつながります。

退職金準備の効率化

退職金制度を計画的に積み立てることができるため、突発的な財務負担を避けることができます。さらに、一定の税制優遇も受けられる場合があります。


企業年金導入の注意点

  • 運営コスト(管理費・掛金負担)
  • 制度設計ミスによる財政リスク
  • 運用失敗リスク(DCの場合)

これらのリスクを避けるためにも、制度設計段階から専門家と相談することが重要です。


導入のための具体的ステップ

  1. 現状分析
    → 従業員数・給与体系・財務状況を確認
  2. 制度選択
    → 確定給付型か確定拠出型か選定
  3. 社内説明・同意取得
    → 労使間で十分な説明・合意形成を行う
  4. 運営機関の選定・契約
    → 信託銀行や生命保険会社と連携
  5. スタート&定期メンテナンス
    → 導入後も定期的に見直しを実施

まとめ

企業年金は、従業員の老後を支えると同時に、企業の成長を支える大きな力になります。特に中小企業・個人事業主こそ、「人材確保」「組織力向上」のために積極的に活用していくべき制度です。
制度の選択や導入方法について迷う場合は、ぜひ専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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