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2025-05-13

確定給付企業年金(DB制度)とは?

はじめに

少子高齢化が進む現代、従業員の老後資金準備はますます重要な経営課題となっています。その中で、企業が福利厚生の一環として導入を検討すべき制度が「確定給付企業年金(DB:Defined Benefit Pension Plan)」です。この記事では、中小企業経営者や個人事業主の方に向けて、確定給付企業年金の基本的な仕組み、導入メリット、運用方法、注意点についてわかりやすく解説します。制度導入の検討にぜひお役立てください。

確定給付企業年金(DB制度)とは?

確定給付企業年金とは、退職後に支給される年金額があらかじめ確定している企業年金制度です。
平成14年4月に施行された「確定給付企業年金法」に基づき、労使合意のもと導入されます。

施行の背景と目的

国の公的年金制度を補完するため、また受給権保護を図りつつ、労使の自主性を尊重した年金制度の整備が求められた結果、確定給付企業年金法が成立しました。
この制度により、企業年金の透明性向上と、従業員の老後の生活基盤安定が目指されています。

確定給付企業年金の種類

確定給付企業年金には、主に以下の2つの方式があります。

規約型(規約型企業年金)

  • 企業単独で実施するタイプ
  • 労使で合意した「年金規約」に基づき、外部の信託銀行・生命保険会社等で積み立てを行います。
  • 柔軟な設計が可能で、中小企業でも導入しやすい特徴があります。

基金型(企業年金基金型)

  • 複数企業が共同で設立する「企業年金基金」が制度を運営
  • 拠出金の管理や年金の支払いを基金が一括して行うため、管理コストの軽減やリスク分散効果が期待できます。

確定給付企業年金の仕組み

積立と運用

企業は、年金給付に必要な資金をあらかじめ積み立てます。積立金は外部機関で運用され、従業員の退職時に確定した給付額が支払われます。
運用成果は企業側が管理し、不足が生じた場合は追加拠出が求められる場合もあります。

受給権の保護

  • 受給権の一部又は全部を失うリスクを回避するため、一定の保護措置(資産分離管理、情報開示、財政検証)が義務付けられています。
  • 労働者保護の観点から、規約違反時には労働者側からの救済手続きも用意されています。

確定給付企業年金を導入するメリット

従業員の老後不安の軽減

確定給付型のため、将来受け取れる年金額が確定しており、従業員にとって安心材料となります。
優秀な人材確保・定着にも寄与します。

企業の社会的信用力向上

年金制度を整備している企業は、社会的信用力が高まります。
特に取引先や金融機関からの評価にもプラスに働きます。

税制上のメリット

  • 積立金は損金算入できるため、法人税負担の軽減が可能です。
  • 従業員にとっても掛金負担がない場合、課税所得に影響せず、実質的なメリットとなります。

導入にあたっての注意点

財政的リスク

年金給付額が確定しているため、運用が悪化した場合でも企業が不足分を補填する必要があります。
財務負担を正しく見積もることが重要です。

制度設計の難易度

年金規約の作成や、適切な運用体制の確保が求められます。
社労士や年金コンサルタントなど専門家のサポートを受けるのが安心です。

コンプライアンス対応

確定給付企業年金法に基づく定期的な財政検証、情報開示義務など、適正な運営が求められます。
怠った場合、行政指導や指摘リスクもあるため注意しましょう。

中小企業におすすめの活用方法

  • 規約型企業年金を単独で導入し、小規模でも機動的に運用
  • 基金型に加入し、他社と共同で運営リスクを分散
  • 退職金制度と統合し、総合的な福利厚生パッケージとして活用する
    こうした柔軟な設計が可能な点も、確定給付企業年金の魅力です。

まとめ

確定給付企業年金は、従業員の老後生活を支える強力な福利厚生ツールです。
一方で、企業側には一定の財務リスク管理が求められるため、導入にあたっては慎重な設計・運営が必要です。

中小企業にとっても、適切に設計すれば人材確保や税制メリットに直結する有効な制度となります。
自社に最適な年金制度を検討し、企業価値向上につなげていきましょう。

確定給付企業年金の導入をご検討中の方は、ぜひ専門家にご相談ください。
あなたの会社に最適な年金制度設計を、私たちがサポートいたします!

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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