PR(Cost Per Response)とは?
はじめに:中小企業こそ知っておくべき「CPR」の考え方
広告宣伝費をかけているのに、思ったように問い合わせや資料請求が来ない――そんな悩みを抱えていませんか?
限られた予算で最大限の効果を出すためには、費用対効果を「見える化」する指標が欠かせません。そこで注目すべきなのが「CPR(Cost Per Response)」です。
この記事では、マーケティングにおけるCPRの意味、計算方法、使い方、他の指標との違い、そして中小企業が実務に活かすためのポイントをわかりやすく解説します。
CPR(Cost Per Response)とは何か?
CPRの定義
CPRとは「Cost Per Response」の略で、「反応1件あたりにかかった広告費」を意味します。ここでの“反応”とは、主に次のような行動を指します:
- 資料請求
- 問い合わせ
- 来店予約
- 商品カタログのダウンロード など
つまり、「広告費 ÷ 成果件数」で求められる非常にシンプルな指標です。
CPRの目的
CPRの目的は、媒体ごと、手法ごとの広告効果を「反応」という成果ベースで数値化し、比較検討することにあります。
広告を「打ちっぱなし」にするのではなく、費用対効果を冷静に評価するための重要な数値です。
CPRの計算方法と具体例
基本の計算式
CPR = 広告費 ÷ 成果件数(資料請求数や問い合わせ数など)
具体例
健康食品の販売会社が、商品A(価格:25,000円)を販促するために、100万円の広告費を使ったとしましょう。
- 広告費:1,000,000円
- 資料請求数:50件
この場合、CPRは:
CPR = 1,000,000円 ÷ 50件 = 20,000円
つまり、1件の資料請求を得るために2万円のコストがかかった、ということになります。
CPRと他のマーケティング指標との違い
CPA(Cost Per Acquisition)との違い
- CPAは「顧客1人の獲得コスト」
- CPRは「反応1件(=見込み顧客)の獲得コスト」
CPAの方が成果地点がより後ろ(コンバージョン)にあり、CPRはその手前の段階(リード)を評価します。
CPC(Cost Per Click)との違い
- CPC:1クリックにかかる広告費(広告クリック単価)
- CPR:問い合わせや資料請求など、実際の「反応」を伴う指標
クリックされても問い合わせにつながらなければ意味がないため、実務ではCPCとCPRをセットで分析するのが望ましいです。
CPRを中小企業が活用するメリット
1. 広告費の適正配分ができる
複数の媒体(Web広告、チラシ、DMなど)を使用している企業は、それぞれのCPRを比較することで、反応率が高い施策に予算を集中させられます。
2. 見込み顧客の質を把握できる
仮にA媒体でCPRが安くても、後の成約につながりにくければ意味がありません。CPRが高くても成約率の高い媒体の方が、結果として利益に貢献することもあります。
3. PDCAサイクルが明確になる
CPRという具体的な数値を使うことで、施策の改善点が明確になります。計画(Plan)→実行(Do)→評価(Check)→改善(Act)のサイクルを実効的に回せます。
CPRを活用するための実践ポイント
h3:① 成果点(コンバージョンの定義)を明確にする
成果とは「何をもって反応とするか」を決めることが重要です。資料請求、問い合わせ、メルマガ登録など、事業の性質によって異なります。
h3:② 媒体別にCPRを集計・比較する
Google広告、SNS広告、展示会など、施策ごとに成果件数と広告費を分けて記録し、定期的にCPRを比較しましょう。
h3:③ 高CPRでも即切りしない
一見高いCPRでも、その後のLTV(顧客生涯価値)が高いなら投資価値があります。CPRは単体でなく、他の指標と組み合わせて判断しましょう。
中小企業でよくあるCPRの失敗例と対策
失敗例 | 問題点 | 対策 |
---|---|---|
SNS広告の反応が多くないのに、毎月固定予算を投下し続けている | CPRが悪化している可能性が高い | CPRを月別で算出し、効果のない月は出稿停止や見直しを行う |
反応数だけで判断し、質の低いリードばかり集まっている | 成約に結びつかないリードは無駄 | CPRと共に成約率・顧客化率も分析する |
CPR改善のためにできる広告運用の工夫
- ターゲット層を絞り込んだクリエイティブに変更
- LP(ランディングページ)の改善で離脱を防ぐ
- A/Bテストを実施して反応率を比較
- アナリティクスで反応導線を可視化
これらの取り組みにより、同じ予算でもより反応の良い広告配信が可能になります。
まとめ:CPRを制する者が広告戦略を制す
CPRは、見込み顧客1件の獲得にかかったコストを明確にするシンプルかつ強力な指標です。
中小企業にとって、限られた広告予算を最大限に活かすには、CPRを継続的に計測・分析し、改善につなげる姿勢が不可欠です。
広告戦略を「勘」ではなく「数値」で判断する時代――ぜひ、あなたのビジネスにもCPRの考え方を取り入れてください。
[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]
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