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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-06-25

【人事評価の盲点?】情意考課とは?

はじめに

従業員の働きぶりを正当に評価するためには、「業績」や「能力」だけでは足りません。中小企業においては、チームワークや規律性といった「人間性」も重要な評価軸です。そこで注目されるのが「情意考課(じょういこうか)」です。本記事では、情意考課の基礎知識から評価項目、導入のメリット・注意点まで、実務に活かせる内容をわかりやすく解説します。


情意考課とは何か?

人事考課の三本柱のひとつ「情意考課」

人事考課は一般的に、以下の3要素から構成されます。

  • 業績考課:成果や業績の評価
  • 能力考課:スキルや知識の評価
  • 情意考課:態度や意欲、協調性などの評価

情意考課は、業務への取り組み姿勢や、周囲との関わり方といった「仕事に向き合う姿勢」を評価するものです。定量的に測りにくいため、主観的になりやすいという課題もありますが、組織の文化づくりや若手育成に有効な手法です。


情意考課で評価される主な項目

1. 規律性

  • 勤怠の遵守、報連相の実施状況などを確認。
  • 社内ルールや業務マナーを守る姿勢。

2. 協調性

  • チーム内での連携、他者への配慮。
  • 職場の雰囲気を悪化させない行動。

3. 積極性

  • 指示待ちではなく、自発的に行動できるか。
  • 改善提案や業務の工夫をする意識。

4. 責任性

  • 仕事を最後までやり抜く責任感。
  • ミスに対する対処やリカバリーの意識。

その他補足的な評価項目

  • 向上心
  • 倫理観
  • 忍耐力
  • 柔軟性 など

企業ごとの評価基準に応じてカスタマイズされます。


中小企業における情意考課の重要性

定量評価が難しい現場の補完に有効

中小企業では「売上」や「成果」だけでは個人の貢献を測りきれない場面が多々あります。そうした場合、日々の姿勢や協調性を重視する情意考課が有効です。

若年層・新入社員の評価指標として活用しやすい

若手社員は業務経験が浅いため業績を基にした評価が困難な場合があります。情意考課を導入することで、「どのように仕事へ向き合っているか」を育成の視点で評価できます。

組織風土の醸成に貢献

協調性や責任感といった評価基準を設けることで、社員が「組織として求められる行動」を明確に理解でき、企業文化の浸透にもつながります。


情意考課を導入・運用する際のポイント

評価基準の明確化

抽象的な評価は誤解や不公平感のもとになります。例えば「協調性」ならば、「週次会議で他者の発言を傾聴し、建設的な意見を出せているか」など、できる限り具体的な行動に基づく評価指標を設定しましょう。

評価者訓練(評価者研修)の実施

主観的な評価に偏らないよう、評価者(上司や管理職)にはトレーニングを行いましょう。評価のばらつきを防ぎ、納得感ある制度運用につながります。

評価のフィードバックを丁寧に行う

評価結果は「育成のツール」として活用すべきです。「なぜこの評価だったのか」「次に期待される行動は何か」を明確にフィードバックしましょう。


情意考課を正しく機能させるための注意点

感情や好き嫌いを混ぜない

感情での評価は、本人のやる気を削ぎ、職場の不信感にもつながります。業務中の具体的な行動に基づいて評価しましょう。

評価の透明性・一貫性の確保

「どのような行動が高評価につながるのか」を社内で共有し、評価に一貫性を持たせることで制度の信頼性が高まります。

ハロー効果・逆ハロー効果に注意

「一部の良い/悪い印象が他の評価にも影響してしまう」という心理バイアスに注意が必要です。項目ごとに独立して評価する意識が大切です。


情意考課と他の考課とのバランスが重要

業績考課との違いを理解する

業績考課は「結果」、情意考課は「姿勢」に焦点を当てます。業績が上がっていないが努力している人、逆に成果は出しているが問題行動が多い人など、それぞれに適した対応が求められます。

総合的な評価で育成と人事決定を両立

考課制度は「給与決定」だけでなく、「育成支援」「モチベーション向上」「組織文化の醸成」にも関係します。バランスよく運用することで、中小企業でも高い効果を発揮します。


まとめ:情意考課は「人を育てる」評価制度

情意考課は、企業の人事考課において、見過ごされがちな「仕事に向き合う姿勢」を評価する重要な指標です。特に中小企業においては、日々の行動やチームへの貢献をしっかりと認める制度として機能します。

正しい運用を行えば、社員のモチベーション向上や職場環境の改善につながります。「評価は人を育てる手段である」という視点を持ち、業績・能力・情意の3要素を総合的に評価する体制を整えていきましょう。

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