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2025-07-04

組織力を最大化する「7Sモデル」とは?中小企業が知っておくべき組織分析のフレームワーク

はじめに:組織改革に不可欠な「見えない要素」の可視化

「自社の組織がなんとなくうまくいっていない」「経営方針と現場の動きにズレを感じる」——そのような課題を抱える中小企業は少なくありません。しかし、問題の本質がどこにあるのか、言語化や構造化が難しいのも事実です。

そんな時に役立つのが、経営コンサルティング会社マッキンゼーが提唱した【7Sモデル】です。このフレームワークは、組織を7つの要素に分解し、どこに改善の余地があるのかを明らかにするための強力な分析手法です。

本記事では、中小企業経営者や個人事業主の皆様に向けて、「7Sモデル」の概要と活用方法を、実践的にわかりやすく解説します。


7Sモデルとは何か?

7つのS:組織を構成する7つの要素

「7Sモデル」は、以下の7つの要素から構成されます。

  • Strategy(戦略)
  • Structure(構造)
  • System(管理システム)
  • Staff(人材)
  • Skill(技能・技術)
  • Style(行動様式・経営スタイル)
  • Shared Value(共有価値観・理念)

この中で、「戦略」「構造」「システム」はハードのSと呼ばれ、比較的明確で測定可能な要素です。

一方で、「人材」「技能」「スタイル」はソフトのSと呼ばれ、目に見えにくく、企業文化や行動に深く根ざしています。

「共有価値観(Shared Value)」は中心に位置し、他の6つすべてに影響を与える最も本質的な要素です。


ハードのS:組織の骨格を形づくる3要素

Strategy(戦略)

戦略とは、企業が競争優位を築き、成長を実現するための計画です。例えば、新規市場の開拓、差別化戦略、価格競争力の強化などが含まれます。

チェックポイント:

  • 明確な目標は設定されているか?
  • 現場が戦略を理解し、実行に移せているか?

Structure(構造)

組織構造は、職務や責任の分担、権限の所在など、組織の形そのものを指します。階層構造、職能別、事業部制などの形式があります。

チェックポイント:

  • 組織構造は戦略と整合しているか?
  • 情報の流れがスムーズか?

System(管理システム)

業務遂行に用いられるルールや手順、評価制度、ITシステムなどの仕組みです。生産管理システムや人事評価制度、会計処理フローなどが含まれます。

チェックポイント:

  • ルールや制度は社員に浸透しているか?
  • 業務改善の仕組みがあるか?

ソフトのS:組織の文化や行動を支える3要素

Staff(人材)

スタッフとは、企業に所属する従業員の能力・人数・配置などを指します。採用、育成、配置といった人事戦略が対象となります。

チェックポイント:

  • 適切な人材を採用・育成できているか?
  • 現場のモチベーションは高いか?

Skill(技能・技術)

組織が持つコアスキル、従業員個々の専門能力などが該当します。技術力・営業力・サービス力などの企業競争力の源泉となる要素です。

チェックポイント:

  • 自社の強みは何か?
  • それを次世代へ継承する仕組みはあるか?

Style(行動様式・経営スタイル)

経営層のリーダーシップスタイル、部門間の連携、職場の雰囲気や風土など、組織の行動的な特徴を表します。

チェックポイント:

  • 経営陣の姿勢は現場にどう影響しているか?
  • 社員間のコミュニケーションは円滑か?

中心にあるShared Value(共有価値観)

共有価値観とは、企業理念、ビジョン、価値観、行動指針など、組織の根幹にある考え方です。これが7Sの全体を貫く“軸”になります。

チェックポイント:

  • 企業理念は従業員に理解・共感されているか?
  • すべての業務が理念に基づいて動いているか?

7Sモデルの活用法:中小企業がすべき組織改革の第一歩

STEP1:現状把握のための自己診断

まずは、自社の各Sについて現状を点検します。チェックリスト形式で、問題のある領域を可視化しましょう。

STEP2:ギャップ分析と課題の抽出

理想の姿と現状の差を分析します。例えば、理念はあるが現場で浸透していない、戦略と構造がチグハグなど。

STEP3:優先順位をつけて改善に着手

一度にすべてを変えるのではなく、重要度と緊急度の高い要素から取り組みましょう。例えば、戦略再構築→構造再編→人材育成の順など。


中小企業における7S活用の成功事例

事例1:経営理念と現場がバラバラだったA社

理念はあるが現場の行動に反映されていなかったA社。Shared Valueの見直しと朝礼での理念共有により、StyleやSkillも改善され、業績が回復。

事例2:人材定着率が低かったB社

StaffとSkillのミスマッチが原因と判明。育成計画の整備と評価制度の透明化により、社員の定着率が改善。


よくある誤解と注意点

  • 7Sは一度使って終わりではない:継続的に見直すことが重要
  • ハード面だけ整えても機能しない:ソフト面(理念・行動・文化)も同時に変える必要あり
  • Shared Valueをおろそかにすると機能しない:中心軸として最も重要な要素

まとめ:7Sモデルで“本質的な組織改革”を始めよう

「戦略や制度を整えたのに成果が出ない」と感じるときこそ、7Sモデルが有効です。目に見える構造と、見えにくい文化や価値観の両面からバランスよく組織を見直すことで、持続的な成長が可能になります。

中小企業だからこそ、柔軟でスピーディな対応ができます。まずは経営者ご自身が7Sを理解し、小さな改革から始めてみてください。


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[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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