toggle
【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-07-15

経営効率を高める!執行役員制度の導入メリットと運用ポイントを徹底解説

はじめに

企業の経営体制を強化するうえで、近年注目されているのが「執行役員制度」です。特に中小企業においては、意思決定の迅速化や責任の明確化が経営のスピードを左右します。本記事では、執行役員制度の基本から導入のメリット・注意点までを、経営者・個人事業主の皆様向けにわかりやすく解説します。


執行役員制度とは?その基本構造を解説

取締役と執行役員の役割の違い

執行役員制度は、企業の「経営」と「業務執行」を明確に分離する仕組みです。

  • 取締役:株主総会で選任され、企業の経営戦略や方針の意思決定を担う法的役員
  • 執行役員:取締役から権限委譲を受け、日常の業務を遂行する非法律上の役職

会社法における執行役員の位置づけ

2006年の会社法施行により、委員会等設置会社では「執行役」という商法上の定義が導入され、法的な役割が明確になりました。一方、一般企業でいう「執行役員」は、法律上はあくまで会社使用人として扱われます。


執行役員制度の導入メリット

経営のスピードアップ

意思決定を担う取締役と、実行を担う執行役員を分離することで、日々の業務に対する迅速な判断が可能になります。
特に、製造・販売など現場対応の多い業種においては、現場での即断即決が売上・利益に直結します。

責任と権限の明確化

役割分担が明確になることで、組織の責任体制が整い、トラブル発生時の対応もスムーズになります。また、人事考課や昇進基準の明確化にもつながります。

人材登用の柔軟性

執行役員は法的には役員ではないため、社外の専門家優秀な管理職など、幅広い人材を柔軟に登用できます。役員報酬よりも柔軟な給与体系を設けやすく、成果主義にも適応可能です。


執行役員制度の導入手順と注意点

導入手順

  1. 目的の明確化:経営効率化、後継者育成、社内ガバナンスの強化など
  2. 社内規程の整備:職務内容、任期、責任、報酬制度などを定義
  3. 取締役会での決議:執行役員制度導入の正式な承認
  4. 登用人事の決定と社内周知:混乱を避けるためにも透明なプロセスが重要

注意点とリスク

  • 権限の曖昧さにより業務が混乱するリスク
  • 責任範囲の不明確さが法的トラブルにつながる可能性
  • 社内理解が不十分だとモチベーション低下や抵抗感を招く

しっかりとした制度設計と説明が、導入成功のカギを握ります。


中小企業における執行役員制度の活用事例

事例1:製造業A社のケース

製造部門の責任者を執行役員に登用。現場判断のスピードが向上し、受注対応の納期短縮に成功。業績も前年比15%増を記録。

事例2:IT系B社のケース

開発部門のリーダーを執行役員とし、新規プロジェクトにおける裁量を付与。意思決定が早まり、2年連続で新サービスのリリースを実現。


執行役員制度とコーポレートガバナンスの関係

経営の透明性向上

取締役は経営戦略に集中し、執行役員は現場に集中することで、責任の所在が明確になります。これにより、内部統制やコンプライアンス体制が整いやすくなります。

ガバナンス強化との相乗効果

社外取締役との連携が強化され、社内の牽制機能も高まるため、企業不祥事の抑止にもつながります。


執行役員の報酬と人事制度

柔軟な報酬設計が可能

執行役員には、役員報酬規程ではなく就業規則や個別契約で報酬を設定できます。業績連動型の報酬制度を導入することで、企業目標と個人目標の一致が図れます。

人事評価との連動

執行役員としての職責に応じた評価制度を設けることで、経営幹部のモチベーション維持と組織全体のパフォーマンス向上が期待できます。


執行役員制度と他の制度との違い

取締役との違い

  • 法的役割がない(会社法上の役員ではない)
  • 業務執行に専念するポジション
  • 取締役会での議決権はなし

従業員との違い

  • 使用人としての位置づけだが、経営に近い業務権限を持つ
  • 高度な責任と職務権限が付与される

まとめ:執行役員制度の導入で経営を加速させよう

執行役員制度は、経営と業務執行の分離によって、組織の透明性とスピードを向上させる有効な仕組みです。特に中小企業においては、組織の意思決定を迅速化し、優秀な人材を活かす制度設計として注目されています。

制度導入の際は、職務と責任の明確化、報酬制度の整備、社内の理解促進がカギとなります。

あなたの会社の経営体制、見直してみませんか?
執行役員制度の導入・運用についてのご相談は、経営支援に強い専門家へお気軽にご連絡ください。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

人事評価・賃金改定のことなら「社会保険労務士法人あい」へ

お問い合わせフォーム

関連記事