toggle
【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-08-18

チームの成長を加速させる「タックマンモデル」とは?経営に活かす5つのステージ

はじめに:なぜタックマンモデルが中小企業経営に重要なのか

中小企業において、社員数が少ない分、一人ひとりのパフォーマンスやチームワークが経営成果に直結します。そんな中で注目されるのが、チーム形成と成長の過程を体系的に捉えた「タックマンモデル」です。

タックマンモデルは、1965年に心理学者ブルース・タックマンによって提唱されたチームビルディング理論であり、チームが成果を出すまでに通る5つの発達段階を示しています。このモデルを理解し活用することで、経営者やマネージャーは、組織をよりスムーズかつ効果的に成長させることが可能となります。

本記事では、タックマンモデルの各段階の意味と特徴、企業経営への活用法、実践における注意点などを詳しく解説します。

タックマンモデルとは何か?

チームの発達段階を示す理論モデル

タックマンモデルは、チームが形成されてから解散するまでのプロセスを、以下の5つの段階に分けて説明します。

  1. Forming(形成)
  2. Storming(混乱)
  3. Norming(統一)
  4. Performing(機能)
  5. Adjourning(散会)

それぞれの段階でチームは特有の課題に直面し、それを乗り越えることで次の段階に進化していきます。

タックマンモデルの5段階を詳しく

Forming(形成):最初の出会いと模索の時期

特徴:

  • メンバー間にまだ距離があり、遠慮がある
  • 目的や役割が明確でなく、指示待ちが多い
  • リーダーシップの重要性が高い

経営者が取るべきアクション:

  • ビジョンや目標を明確に伝える
  • メンバー紹介やチームビルディング活動を行う
  • 安心感と信頼感を醸成する

Storming(混乱):意見対立と葛藤の噴出

特徴:

  • 目的や価値観のズレが顕在化
  • リーダーへの挑戦、メンバー同士の衝突が発生
  • 感情的な対立や不信感も見られる

経営者が取るべきアクション:

  • 対話の場を設け、率直な意見交換を促す
  • 感情的な対立を建設的な議論に変えるファシリテーション
  • 「対立=悪」ではなく「成長の通過点」として受け入れる

Norming(統一):秩序と信頼の確立

特徴:

  • ルールや役割分担が定着
  • 互いを尊重し協調が生まれる
  • チームとしての一体感が芽生える

経営者が取るべきアクション:

  • 成果を可視化してチームの成功体験を共有
  • 自律的な行動を促す支援型マネジメントへ転換
  • 定例ミーティングなどで関係性を維持・強化

Performing(機能):高いパフォーマンスを発揮

特徴:

  • 自律的に問題を解決し、成果を追求
  • 高度な協業とイノベーションが可能
  • リーダーは指揮より支援にまわる

経営者が取るべきアクション:

  • 権限委譲を進めて意思決定のスピードを上げる
  • 新しいチャレンジを促す
  • メンバーの成長を支援する教育機会を用意

Adjourning(散会):目的達成後のチーム解散

特徴:

  • プロジェクトの終了やメンバー異動によりチームが解散
  • 達成感と同時に喪失感も生まれる
  • 経験の振り返りと共有が重要

経営者が取るべきアクション:

  • 解散前に成果を振り返る機会を設ける(レビュー会)
  • 個人の貢献を称える
  • 経験をナレッジとして社内に蓄積

中小企業がタックマンモデルを活用するメリット

1. チームの現状を客観視できる

チームの課題が「正常な成長プロセス」であることが理解できると、焦りや不安が軽減され、冷静なマネジメントが可能になります。

2. 成長を促すマネジメントができる

各段階における適切な対応を知ることで、チームが短期間で「Performing」へと移行し、成果を最大化できます。

3. 離職やモチベーション低下の予防

「Storming期」の対立を適切にマネジメントすれば、感情のもつれによる退職リスクを減らせます。

よくある誤解と失敗事例

●「混乱期」を避けようとする

Storming(混乱)を飛ばそうとすると、表面的な協調に終始し、真の信頼関係や創造性が育まれません。

●リーダーが口を出しすぎる

Performing期に入っても管理的なマネジメントを続けると、自律性を損ねてパフォーマンスが停滞します。

●メンバーの入れ替えが頻繁にある

常にForming段階に戻ってしまい、チームが熟成しない。採用や人員配置もタックマンモデルを意識する必要があります。

タックマンモデルを社内に定着させる方法

●研修・ワークショップの実施

モデルの理解を深めるために、社内研修でケーススタディを交えたワークショップを実施しましょう。

●プロジェクト開始時の共有

プロジェクト開始時に、タックマンモデルの説明を行い、「今後どんな段階を経るか」をメンバーに伝えておくと混乱の予防になります。

●評価制度との連動

各フェーズに応じた行動評価を設け、成長プロセスを人事制度に反映させることも有効です。

まとめ:混乱を恐れず、成長を見守る経営の姿勢を

タックマンモデルは、チームが成長するための「地図」のような存在です。特に中小企業では、少数精鋭のチームが多いため、一人の摩擦がチーム全体の生産性に影響を与えることもあります。

このモデルを知り、「今、我が社のチームはどの段階にいるのか」「次に進むために何が必要か」を考えることで、チームの潜在力を最大限に引き出すことが可能になります。

行動の一歩を踏み出しましょう

あなたのチームは今、どの段階にいますか?
タックマンモデルを活用して、次のステージへ導くマネジメントを始めましょう。

▶ 導入支援・研修をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

人事評価・賃金改定のことなら「社会保険労務士法人あい」へ

お問い合わせフォーム

関連記事