【中小企業退職金共済制度】で人材定着を実現!制度の仕組みとメリットを徹底解説
はじめに:退職金制度が企業力を高める時代へ
中小企業にとって、人材確保と定着は永遠の課題です。大企業のように手厚い退職金制度を整備することが難しい中、優秀な人材を確保・維持するにはどうすればよいのでしょうか?
そこで注目されているのが「中小企業退職金共済制度(通称:中退共制度)」です。
この記事では、中退共制度の仕組みやメリット、加入条件から手続きの流れ、他制度との違いまでを分かりやすく解説します。導入を検討している中小企業経営者・個人事業主の方に向けた実践的な内容です。
中退共制度とは?
法的背景と制度の概要
中退共制度とは、**「中小企業退職金共済法(昭和34年制定)」**に基づく、公的な退職金共済制度です。
運営主体は、**独立行政法人 勤労者退職金共済機構(中退共本部)**であり、事業主が掛金を支払うことで、従業員に退職金を支給する「社外積立型」の仕組みです。
制度の目的
中退共制度の目的は以下の3つです。
- 中小企業従業員の福祉向上
- 安定した雇用の確保
- 中小企業全体の健全な振興
加入条件と対象企業
加入できる事業者の範囲
中退共制度に加入できるのは、以下のいずれかの条件を満たす中小企業です。
業種 | 常用従業員数の上限 | 資本金または出資金の上限 |
---|---|---|
製造業など | 300人以下 | 3億円以下 |
卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
小売・サービス業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
※これは「中小企業基本法」で定められている定義と同じです。
対象となる従業員
中退共に加入できる従業員は、原則として常用雇用の労働者です。
パート・アルバイトなど短時間労働者についても、週の労働時間が正社員のおおむね4分の3以上あれば対象となります。
掛金と退職金の仕組み
掛金額の選択と変更ルール
事業主は従業員ごとに、以下の16種類から掛金月額を選ぶことができます(単位:円)。
5,000/6,000/7,000/8,000/9,000/10,000/12,000/14,000/16,000/18,000/20,000/22,000/24,000/26,000/28,000/30,000
- 増額: いつでも可能
- 減額: 原則不可。ただし、従業員の同意や経営状況の悪化等により厚生労働大臣が認めた場合に限り可
掛金納付と退職金の支給
事業主は中退共本部と契約を結び、毎月金融機関を通じて掛金を納付します。
掛金の支払は全額事業主負担であり、従業員に負担させることはできません。
退職時には、従業員が直接中退共から退職金を受け取る仕組みです。
支給要件と金額計算
退職金の支給額は以下で決まります。
- 掛金月額
- 掛金納付月数
ただし、掛金納付月数が11か月以下の場合は退職金の支給はありません。
中退共制度の導入メリット
【企業側のメリット】
1. 損金・必要経費として全額非課税
- 法人:掛金は全額損金算入可
- 個人事業主:掛金は必要経費として処理可
節税効果は大きく、資金繰りの健全化にもつながります。
2. 助成金制度の活用が可能
新規加入事業主には、掛金の2分の1(上限5,000円)を12ヶ月間助成する制度があります。
- 対象期間:加入4か月目~1年間
- 支給対象人数:対象となるすべての従業員
3. 社会的信用・採用力の向上
- 求人票に「退職金制度あり」と明記できる
- 安定志向の求職者にアピール可能
- 離職率の低下にも効果あり
【従業員側のメリット】
1. 転職時の「通算制度」で安心
転職先も中退共制度に加入している場合は、掛金の納付実績を通算可能です。
これにより、長期にわたって退職金を積み立てていくことができます。
2. 直接支給の安心感
退職金は中退共本部から直接支払われるため、「倒産時の未払い」などのリスクもありません。
中退共制度と他制度との違い
制度名 | 特徴 | 対象規模 | 運営者 |
---|---|---|---|
中小企業退職金共済制度 | 公的退職金制度、掛金全額非課税 | 中小企業 | 勤労者退職金共済機構(中退共) |
小規模企業共済制度 | 経営者・個人事業主向け | 小規模企業(従業員数5~20名) | 中小企業基盤整備機構(中小機構) |
自社独自の退職金制度 | 自由度が高いが管理・積立が必要 | 全規模(大企業含む) | 自社で運用 |
→従業員向けの公的退職金制度としては、中退共制度が最も手軽かつ安定した選択肢です。
中退共制度の加入手続き
加入の流れ(事業主)
- 加入申込書の提出
- 申込書を中退共本部または金融機関・商工会などへ提出
- 契約締結
- 中退共との退職金共済契約を結ぶ
- 掛金納付の開始
- 初回掛金を納付し、契約が発効
- 共済手帳の発行
- 従業員ごとに共済手帳が交付される
必要書類
- 加入申込書
- 登記簿謄本(法人の場合)
- 従業員名簿
- 会社概要書類 など
よくある質問(FAQ)
Q. 掛金は途中で変更できますか?
→可能です。増額はいつでも可能。減額は一定条件下のみ認められます。
Q. 掛金を従業員に一部負担させられますか?
→できません。掛金はすべて事業主負担です。
Q. 一度退職した従業員が再雇用された場合、掛金はどうなりますか?
→通算できます。ただし、一定の条件と手続きが必要です。
中退共制度導入の成功事例
製造業A社(従業員数20名)
- 導入前:若手社員の離職率が高く、求人応募も少ない
- 導入後:「退職金制度あり」の表記で採用数UP。平均勤続年数も向上
- 掛金の損金処理で、実質的な企業負担を最小限に
まとめ:退職金制度の導入で“選ばれる企業”へ
中小企業退職金共済制度は、コストを抑えながらも、従業員の安心と定着を支える最良の手段です。
導入により、企業の採用力・定着率・節税効果の向上といった多方面のメリットが得られます。
✅ 制度導入は早いほどお得です。
✅ まずは資料請求や相談から始めましょう。
【今すぐ行動!】導入の第一歩を踏み出そう
中退共制度の詳しい内容や申込書は、以下の公式ページから確認できます。
➡ 中退共制度 公式サイト
従業員の未来に、確かな安心を。中小企業の成長を支える制度として、今すぐ導入を検討してみてはいかがでしょうか?
[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]
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