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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2025-09-26

二重就労の実態と企業が取るべき対応策|副業解禁時代の人材マネジメント戦略

はじめに

働き方改革、副業解禁、テレワークの普及など、労働環境は急速に変化しています。かつて日本企業では「二重就労=禁止」が常識でしたが、今では従業員が複数の収入源を持つことが一般化しつつあります。
しかし、企業にとっては労務管理や情報漏洩リスク、健康管理などの課題も大きく、正しい知識とルール整備が求められます。本記事では 「二重就労」についての基本知識、法的リスク、企業が取るべき実務対応策 を徹底解説します。

二重就労とは何か

定義

二重就労とは、一つの企業に雇用されながら、他の事業所や会社でも就労することを指します。かつては副業・兼業を原則禁止とする企業が大多数でしたが、近年は多様な働き方を認める流れが強まっています。

背景

  • 働き方改革による副業・兼業推進
  • テレワークやフリーランス市場の拡大
  • 若手人材の「複業志向」の高まり
  • 老後資金への不安からの副収入確保

二重就労のメリットとデメリット

従業員側のメリット

  • 所得の増加
  • スキルの多様化
  • キャリア形成の選択肢拡大

従業員側のデメリット

  • 過重労働による健康リスク
  • 本業への集中力低下
  • 雇用契約違反のリスク

企業側のメリット

  • 社員の成長による新しい知識の社内還元
  • 多様な人材確保の柔軟性向上

企業側のデメリット

  • 労働時間管理の複雑化
  • 情報漏洩や競業避止違反のリスク
  • 労災・安全配慮義務上のトラブル可能性

二重就労をめぐる法的整理

労働基準法との関係

  • 労働基準法第38条:複数事業場での労働時間は通算される
  • 1日8時間、週40時間を超える部分は時間外労働として扱われる

労働安全衛生法との関係

  • 企業には従業員の健康を守る安全配慮義務あり
  • 過労による労災認定リスク

競業避止義務

  • 業務と競合する副業の場合、就業規則で禁止可能
  • 不正競争防止法や守秘義務違反に発展する可能性

二重就労と副業・兼業の違い

  • 副業:本業に付随して行う仕事。収入補填目的が多い
  • 兼業:本業に加えて、専門性を活かした別の業務を行うこと
  • 二重就労:複数の「雇用契約」を結ぶ点が特徴的

中小企業が直面する課題

1. 労働時間の把握

複数の雇用先で勤務する場合、労働時間の通算管理は企業に義務があります。
しかし現実には、従業員が正確に申告しないと把握困難です。

2. 就業規則の未整備

副業解禁の流れを受けて規則を改訂していない企業では、トラブル時の対応が曖昧になります。

3. 情報管理リスク

ITや製造業などでは、顧客情報や技術情報の持ち出しリスクが深刻です。

二重就労を認める際の実務対応

就業規則の見直し

  • 副業・兼業の届出制度を導入
  • 競業避止条項を明記
  • 健康管理に関するルールを規定

労働時間管理の工夫

  • 勤務時間申告制度の導入
  • 勤怠システムへの副業情報連携
  • 36協定違反を防ぐ仕組みづくり

健康管理の強化

  • 定期健康診断の徹底
  • メンタルヘルスチェック
  • 長時間労働者への面談制度

二重就労を禁止すべきケース

  • 同業他社での就労(競業避止義務違反)
  • 情報漏洩の可能性が高い業務
  • 心身への過大な負担が明らかな場合

二重就労時代に企業が取るべき戦略

  1. 原則禁止から「条件付き容認」へ
  2. 従業員との信頼関係構築(申告制・相談窓口)
  3. 企業ブランド強化(本業に魅力があれば人材流出を防げる)

まとめ

二重就労は「禁止」か「容認」かの二択ではなく、企業ごとにリスク管理と成長機会を天秤にかけて判断すべき課題です。
中小企業経営者にとっては、就業規則の整備・労働時間管理・健康管理・情報管理の4点を意識することが鍵となります。

自社の就業規則や副業対応が古いままでは、思わぬ法的リスクを抱える可能性があります。
今こそ「二重就労・副業規程の見直し」を行いませんか?
社会保険労務士法人あいでは、最新の法令や実務に基づいた就業規則改訂、労務リスク診断をサポートしています。ぜひお気軽にご相談ください。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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