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2025-10-01

日給月給制とは?中小企業経営者のための実務ガイド

はじめに

従業員の賃金体系には「月給制」「日給制」「時給制」など様々な形態があります。その中で「日給月給制」は、月単位で給与を支給しながらも、欠勤や遅刻などの労働時間に応じて日割りで減額が行われる仕組みです。中小企業経営者や個人事業主にとって、労務管理やコストコントロールの観点から理解しておくことが重要な制度です。本記事では、日給月給制の仕組み、メリット・デメリット、導入時の注意点を詳しく解説します。

日給月給制とは?

定義

日給月給制とは、月給が日給の積み上げで算定される給与制度を指します。基本的には月額で給与が決まりますが、欠勤や遅刻が発生した場合は、平均稼働日数に基づいて日割りで控除される仕組みです。

  • 欠勤 → 減額の対象
  • 法定休日・所定休日・有給休暇 → 減額されず支給

つまり「月給の安定性」と「日給の変動性」を併せ持つ給与形態といえます。

他の賃金制度との違い

月給制との違い

  • 月給制:月額が固定され、欠勤があっても控除されないケースが多い。
  • 日給月給制:月額は決まっているが、欠勤に応じて控除が発生する。

日給制との違い

  • 日給制:勤務した日ごとに賃金が発生。月ごとの給与額は稼働日数で変動する。
  • 日給月給制:月単位で給与額は設定されており、安定性がある。

日給月給制のメリット

企業側のメリット

  • 欠勤時に給与を日割りで調整できるため、人件費の無駄を防げる。
  • 月額給与が設定されているため、給与計算や資金繰りの見通しを立てやすい。

従業員側のメリット

  • 完全な日給制よりも収入が安定する。
  • 正社員としての安心感を得られる。

日給月給制のデメリット

企業側のデメリット

  • 給与規程や就業規則に明記していないと、トラブルになる可能性がある。
  • 給与計算が複雑化する場合がある。

従業員側のデメリット

  • 欠勤が多いと給与が大きく減る。
  • 月給制に比べて「安定した固定給」という印象が弱まる。

就業規則での明確化が必須

明記すべきポイント

  • 賃金形態が日給月給制であること
  • 欠勤・遅刻・早退時の控除ルール
  • 平均稼働日数の算出方法

これらを就業規則や賃金規程に記載しておくことで、従業員との認識齟齬を防ぎ、法的トラブルを回避できます。

法律上の注意点

労働基準法との関係

  • 労働基準法第24条(賃金の全額払い)を遵守する必要がある。
  • 遅刻・欠勤控除の際も、正しい計算根拠が必要。

社会保険・税務の取扱い

  • 社会保険料・所得税は「月額」を基準に計算されるため、控除後の給与額だけでなく標準報酬月額にも注意が必要です。

日給月給制を導入すべきケース

  • 製造業や建設業など「欠勤の影響が大きい業種」
  • 出勤日数や稼働時間の変動が少ない中小企業
  • 月給制の安定性と、日給制の柔軟性を両立したい場合

導入・運用のステップ

  1. 賃金規程の整備
    • 賃金形態の明記
    • 控除方法のルール化
  2. 従業員への説明
    • 面接・採用時に必ず説明
    • トラブル防止のため書面で交付
  3. 給与計算システムの確認
    • 勤怠データと連動できるか確認
    • 欠勤控除の計算方式を統一

中小企業が直面しやすい課題

  • 欠勤控除額の計算方法が曖昧 → トラブル化
  • 就業規則未整備 → 不利益変更とみなされるリスク
  • パート・アルバイトとの混在運用 → 不公平感の発生

まとめ

日給月給制は、月給制の安定性と日給制の柔軟性を併せ持つ仕組みです。中小企業にとってはコスト管理上の利点がある一方で、規程整備や従業員説明を怠るとトラブルになりやすい制度でもあります。導入にあたっては 就業規則・賃金規程の明文化、給与計算ルールの徹底、従業員への丁寧な説明 が不可欠です。

貴社の給与体系や就業規則は法令に適合していますか?
トラブルを未然に防ぐために、専門家によるチェックや制度設計の見直しをおすすめします。
今すぐ社会保険労務士法人あいにご相談ください。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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