ハーツバーグの二要因説とは?「やる気が続く職場」をつくる実践ガイド
はじめに
「給料を上げたのに、思ったほどモチベーションが上がらない」「福利厚生を整えたのに、定着しない」——中小企業や個人事業主の現場では、こうした悩みがよく起こります。
この“なぜ”を説明するのに役立つのが、ハーツバーグの二要因説です。
二要因説は、働く人の気持ちを「満足」と「不満」の観点から整理し、**やる気を引き出す要因(満足要因)**と、**やる気を阻害する要因(衛生要因)**を分けて考えます。
ポイントは、「不満をなくすこと」と「やる気を生むこと」は同じ施策ではない、ということ。この記事では、ハーツバーグの二要因説を中小企業の現場に落とし込み、すぐ使える形で解説します。
ハーツバーグの二要因説では、人が仕事に対して感じる要素を大きく2つに分類します。
- 満足要因(促進要因):あると仕事の満足度が上がり、やる気につながる要因
- 衛生要因(不満足要因):整っていないと不満が増え、やる気を下げる要因(ただし整えても“やる気の爆上がり”には直結しにくい)
たとえば、職場が寒すぎる・上司の態度がきつい・給与の支払いが不透明——こうした状態は不満を生みます。しかし、これを改善しても「よし、頑張るぞ!」と長期的に燃えるとは限りません。“マイナスをゼロに戻す”のが衛生要因です。
一方で、仕事の達成感、任される責任、認められる体験などは、**「自分の仕事に意味がある」「成長できる」**という感覚をつくり、内側からやる気が湧きます。これが満足要因です。
- 衛生要因を整える → 不満が減る(離職リスクが下がる、揉め事が減る)
- 満足要因を設計する → やる気が増える(主体性が上がる、成果が出る)
どちらか片方だけでは片手落ちになりやすいのが現場のリアルです。
満足要因は、仕事の“中身”や“手応え”に関わる要素です。参考として挙げられる代表例は、参画、責任・権限、職務充実・拡大、承認など。中小企業では「制度がないから無理」と思われがちですが、むしろ小さい組織のほうが早く実装できます。
参画が増えると、指示待ちが減り、現場に当事者意識が生まれます。
- 「この業務を任せる」だけでなく、「ここまで決めてOK」「ここから先は相談」と線引きする
- 数字目標が難しければ、「納期」「品質」「クレームゼロ」「再発防止」など行動目標でもよい
- 失敗時のフォローを先に宣言しておく(挑戦が増える)
- 作業手順の改善提案を任せる
- お客様対応の「型」を作る役割を任せる
- 新人教育の一部を担当してもらう(教える側の成長は大きい)
- 「助かった」より「この対応で納期が守れた。ありがとう」
- 月末まとめより、当日の一言
- 結果だけでなく「プロセス承認」(工夫、段取り、報連相)も入れる
承認が機能すると、評価制度が完璧でなくても前向きな空気がつくれます。
衛生要因は、職場の“環境”や“条件”に関わります。参考例として、賃金、労働条件、労働環境、コミュニケーションなどが挙げられます。ここを放置すると、いくら満足要因を入れても効果が出にくくなります。
- 給与の決まり方が分かる(評価・役割・スキル)
- 昇給の見通しが立つ
- 不公平感が小さい(比較されるのは避けられない)
「頑張れば上がる」は便利な言葉ですが、運用が曖昧だと不満の原因になります。
- 連絡手段(チャット、口頭、紙)を統一する
- 伝達事項の置き場を決める
- 決定事項と背景(なぜそうしたか)を短く共有する
情報が流れない職場は、疑心暗鬼が生まれやすく、不満が増えます。
- 承認のルール化(毎日1回、具体的に)
- 小さな参画(改善提案の時間を固定)
- 責任と権限の線引き(任せる範囲の明文化)
ハーツバーグの二要因説は、モチベーション施策を“気合い”や“思いつき”で進めないための地図です。
衛生要因で不満を減らし、満足要因でやる気を生む。この順番を守るだけで、同じコストでも成果が変わります。
- 衛生要因:賃金、労働条件、労働環境、コミュニケーションなど「土台」
- 満足要因:参画、責任・権限、職務充実・拡大、承認など「仕事の中身」
制度や予算が限られる中小企業こそ、二要因説は強い武器になります。
[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]
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