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2026-01-16

ヒューマンエラーとは?「人的ミス」を減らせる発生メカニズムと再発防止策を徹底解説

>はじめに:大事故の芽は「小さなミスの連鎖」から生まれる

ヒューマンエラー(human error)とは、災害や重大トラブルの原因となる人的ミスのことです。大きな事故ほど、派手な失敗が一発で起きるのではなく、些細なミスが複数重なり、見逃され、最後に表面化するケースが少なくありません。

中小企業・個人事業では「人手が足りない」「ベテラン頼み」「仕組みより気合いで回している」状態になりやすく、ヒューマンエラーの温床ができがちです。ですが裏を返すと、仕組みの整備で改善余地が大きいのも中小企業の特徴です。

この記事では、ヒューマンエラーの種類、起きるメカニズム、現場で今日からできる防止策を、分かりやすく整理します。

ヒューマンエラーの主な要因

ヒューマンエラーは「注意不足」や「不真面目」の問題に見えがちですが、本質は人間の認知・判断・行動の限界と、職場の仕組み(環境・ルール・設計)が噛み合わないことで起きます。

たとえば次のような状態が重なると、ミスは急増します。

  • 手順が複雑で、例外が多い
  • 口頭指示が多く、記録が残らない
  • 誰が最終確認者か曖昧
  • 忙しさ・疲労・焦りが慢性化
  • 「報告すると怒られる」空気がある

つまり、ヒューマンエラー対策は「個人の注意」ではなく、会社としてミスが起きにくい仕組みに変えるのが王道です。

認知ミス(見落とし・見間違い・思い込み)

– 似た名称の商品、似た表示、同じ形の部品 – “いつも通り”に見える配置 – 小さい文字、暗い作業環境、騒音

誤判断(判断材料が不足/判断が歪む)

– 時間がないから「たぶん大丈夫」 – 上司に相談しづらい – ルールが曖昧で現場判断に丸投げ

動作ミス(手が滑る・押し間違える・操作が難しい)

– ボタン配置が紛らわしい – 片手作業が多い – 手袋・油・水など環境要因

忘却(中断・割り込みが多い)

– 電話対応、来客、チャット通知 – マルチタスクで注意資源が枯渇 – 引継ぎが口頭中心

気の緩み(慣れ・慢心・「これくらい」)

– ベテランほど省略しがち – 手順の意味が共有されていない – 事故が起きていない期間が長い

ヒューマンエラーが増える職場の共通点

中小企業で特に多い「ミスが増える構造」を先に押さえると、対策の優先順位が見えます。

属人化:できる人に集中している

「Aさんしか分からない」「Bさんが休むと回らない」状態は、疲労と判断の独占を招きます。結果としてミスが増え、さらに属人化が進む悪循環になります。

ルールが“あるようでない”

手順書があっても更新されていない、例外処理が別紙だらけ、実際は口頭指示が中心。これでは新人ほどミスし、ベテランほど自己流になります。

確認が“気合い”になっている

「ちゃんと見てね」「注意してね」だけでは再発防止になりません。確認は仕組み化して初めて機能します。

中小企業向け:ヒューマンエラー防止の基本戦略(4つの柱)

対策は難しく考えなくて大丈夫です。効果が出やすい順に、次の4つで組み立てるのが現実的です。

柱1:標準化(手順を誰でも同じにする)

– 作業の「最短手順」を固定する – 例外処理を減らし、判断点を明確にする – 手順書は“読むもの”ではなく“見ながらやるもの”にする(1枚・図解推奨)

柱2:見える化(迷いを減らす)

– ラベル色分け、置き場の定位置化(5S) – 工程の状態(未/済)が一目で分かるボード – 最新版の書式・マニュアルだけが開ける仕組み

柱3:ダブルチェックの設計(確認を仕組みにする)

– 「誰が」「何を」「どの基準で」確認するか固定 – 目視だけに頼らず、チェックリスト・バーコード・照合表を活用 – 重要工程は“自己チェック→他者チェック→記録”の順にする

柱4:教育と運用(続く形にする)

– 新人教育は“手順+なぜそうするか(事故例)”までセット – 研修よりも「現場での短い反復(5分OJT)」が効く – ミス報告は責めず、改善に使う(報告文化)

すぐ使える:ヒューマンエラー対策チェックリスト

現場の見直しに、そのまま使える形でまとめます。

業務設計(仕組み)

– 手順は1枚で見える(図・写真あり) – 例外処理が手順内に統合されている – 最新版のマニュアル・書式が明確(古い版が使えない)

確認(チェック)

– 重要工程のチェック項目が固定されている – チェックは“記録に残る” – 数量・品番・期限・宛先など、事故につながる項目は必ず照合している

人・体制

– 忙しい時ほどミスが増える業務に、応援ルールがある – 休憩・交代・残業管理が形だけになっていない – 属人化工程を洗い出し、代替要員の育成計画がある

文化(マネジメント)

– ヒヤリハットが共有されている(小さな芽の段階で)
– ミスが起きた時に、個人攻撃ではなく再発防止に時間を使う – 改善提案が出たら小さく試せる(現場の声が通る)

ミスが起きた時の正しい対応:再発防止は「原因の深掘り」が9割

ヒューマンエラーはゼロにできません。重要なのは、起きた後に同じパターンを繰り返さないことです。

やってはいけない対応

– 「注意して」「気をつけて」で終わる – 当事者を叱って“反省文”だけで済ます – 現場に丸投げし、対策が属人的になる

効果が出る再発防止の進め方

ステップ1:事実を時系列で整理する

「いつ、どこで、誰が、何を見て、どう判断し、どう動いたか」を淡々と並べます。

ステップ2:エラーの種類(5分類)を当てはめる

例:オミッションなのか、順序ミスなのか。ここがズレると対策もズレます。

ステップ3:個人要因ではなく“環境・設計”を探す

– 表示が似ていた – 割り込みが多かった – 手順が長く、確認点が曖昧 reminder がない – 人員配置が偏っていた

ステップ4:対策は「仕組み」で入れる

チェックリスト化、定位置化、承認フロー変更、表示改善、ダブルチェック導入など、注意力に頼らない対策を優先します。

ヒューマンエラー対策は「コスト」ではなく「利益を守る投資」

ヒューマンエラーは、目に見える損失(やり直し、返品、事故対応)だけでなく、見えにくい損失(信用低下、離職、採用難、管理者の疲弊)を生みます。中小企業ほど一度の事故のダメージが大きく、経営課題になりやすい領域です。
逆に言えば、

を整えるだけで、品質・納期・安全・顧客満足が同時に改善しやすくなります。

まとめ:ヒューマンエラーは「人」ではなく「仕組み」で減らす
ヒューマンエラーは、認知ミス・誤判断・動作ミス・忘却・気の緩みなど、人間の特性から必ず起こります。だからこそ、再発防止のポイントは「注意してください」ではなく、ミスが起きにくい業務設計に変えることです。
• エラーを5分類して、起き方を特定する
• 属人化を減らし、標準化・見える化する
• ダブルチェックを“設計”して記録に残す
• ヒヤリハットを責めずに共有し、改善の材料にする
この積み重ねが、事故防止だけでなく、生産性・品質・採用定着にも効いてきます。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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