2026-02-09
知っておくべき「不当労働行為」‑ 法律リスクを回避し、健全な職場づくりへ導く実務ガイド
はじめに
近年、労働組合の活動や従業員の団結権が注目される中で、「不当労働行為」という言葉を耳にする機会が増えています。
「不当労働行為」 とは、使用者(=経営者)が労働者や組合の合法的な団結・組合活動を妨害・抑圧したり、差別的取扱いをしたりすることを指し、日本では労働組合法で明確に禁止されています。
中小企業や個人事業主は、大手と比べて法務リスクへの備えが手薄になりがちです。
本記事では、経営者目線で分かりやすく 不当労働行為の全容・具体例・救済手続き・対策を解説し、「今すぐできるリスク回避策」 までご紹介します。
この記事を最後まで読むと…
・不当労働行為がどんな行為か即座に判断できる
・違反が疑われた際の迅速な対応フローが分かる
・従業員との信頼関係を損なわない職場づくりのポイントが手に入る
不当労働行為とは何か – 法的定義と目的
① 法律上の定義
労働組合法第7条は、使用者が以下のような行為をした場合を「不当労働行為」として禁止しています。
| 番号 | 行為内容 |
|---|---|
| 1号 | 組合員・加入希望者に対する解雇・配置転換・賃金差別等の不利益取扱い |
| 2号 | 正当な理由なく団体交渉を拒否 |
| 3号 | 組合の結成・運営への支配・介入、または支配的経費援助 |
| 4号 | 労働委員会での手続きに基づく差別的取扱い |
② 制度の目的
- 団結権・組合活動の保障 – 憲法第28条が認める労働基本権を実効的に守る。
- 職場の公平性確保 – 経営者側の恣意的な圧力から従業員を保護し、健全な労使関係を促進する。
日本の制度史と現行法の位置付け
歴史的背景
- 1945年(旧労働組合法) – アメリカ・ワグナー法を踏襲し、初めて不当労働行為制度が導入。
- 1946年 憲法制定 – 労働基本権(第28条)が明文化され、制度の根拠が強化。
- 1949年 現行労働組合法 – 不当労働行為の具体的類型と救済手続きを詳細に規定。
米国との違い
米国は「使用者・組合双方の不当労働行為」も認めるが、日本は使用者側のみを対象としている点が大きく異なります。したがって、経営者は特に注意が必要です。
代表的な不当労働行為の類型(具体例)
① 組合加入・活動を理由とした差別待遇
- 解雇 – 「組合に加入したから」や「組合活動に参加したから」という理由での一方的解雇。
- 配置転換 – 労働条件が著しく悪化する部署への異動。
- 賃金差別 – 同一労働同一賃金の原則に反し、組合員だけ給与を下げる。
② 団体交渉拒否
- 正当な理由がなく、経営側が組合代表者との面談や交渉を「時間がない」などの曖昧な言い訳で回避するケース。
③ 組合支配・介入
- 経費援助 – 「会社が組合活動費を出す代わりに、組合は経営方針に従う」などの条件付け。
- 内部人事干渉 – 組合役員選挙で自社側の候補者だけを推す。
④ 労働委員会手続きに基づく差別
- 例えば、労働委員会への不服申立てをした従業員に対し、評価を下げる・昇進を止めるなどの報復行為。
違反が発覚したら – 救済手続きと実務上の留意点
① 救済ルートは 2 つ
| 手段 | 特徴 |
|---|---|
| 労働委員会(準司法的救済) | 迅速・低コスト。調査・審問後に「原状回復命令」や「団体交渉応諾命令」等が出る。 |
| 裁判所(司法的救済) | 判決まで時間がかかるが、損害賠償請求や違反行為の差止めが可能。 |
② 手続きの流れ(実務チェックリスト)
- 事案把握 – 何が起きたか、証拠(メール・社内文書・録音等)を確保。
- 労働組合/従業員と協議 – まずは内部で解決できないか確認。
- 労働委員会へ申立て(※5日以内が望ましい) → 公益委員の調査開始。
- 命令発出後 – 原状回復・バックペイ等の実施期限を守る。
- 不服の場合は裁判所へ提訴 – 期間制限(2年以内)があるため、早めに弁護士相談。
③ 注意すべき点
- 命令の執行力は限定的 – 労働委員会の命令は裁判所で争えるが、実務上は「履行しない」リスクがある。
- 罰則は原状回復主義 – 直罰(罰金)よりも「元に戻す」ことが基本。したがって、事前の予防が最重要
[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]
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