理想の組織を作る「マネジリアル・グリッド論」とは?5つのリーダーシップ類型で自己変革を加速させる
「最近、チームの士気が上がらない」「業績は出ているが、離職率が高い……」
中小企業経営者や個人事業主の皆様にとって、リーダーシップの悩みは尽きないものです。自身のリーダーシップスタイルを客観的に把握し、状況に合わせて最適化することは、持続可能な経営において避けて通れない課題です。
そこで注目したいのが、1964年に提唱されて以来、現代でもリーダー教育のバイブルとして活用されている**「マネジリアル・グリッド論」**です。
この記事では、マネジリアル・グリッド論の基本概念から、5つの典型的なリーダーシップ類型、そして最強の組織を作るための具体的な活用方法までを徹底解説します。
2. マネジリアル・グリッド論の基礎知識
マネジリアル・グリッド論とは何か?
マネジリアル・グリッド論は、1964年にテキサス大学の教授であり経営コンサルタントでもあったロバート・ブレイクとジェーン・ムートンによって提唱されました。
リーダーシップを「資質(才能)」ではなく、具体的な「行動(スタイル)」として捉えるリーダーシップ行動論の代表的な理論です。「リーダーは生まれ持った才能ではなく、学習によって育成できる」という考え方が根底にあります。
2つの軸:人間への関心と業績への関心
この理論の最大の特徴は、リーダーの意識を以下の2つの軸で可視化した点にあります。
- 業績への関心(横軸:Concern for Production)
- 生産性、効率、目標達成、利益、売上といった「タスク」に対する関心の強さ。
- 人間への関心(縦軸:Concern for People)
- 部下の信頼、満足度、職場環境、人間関係といった「人」に対する関心の強さ。
81の格子(グリッド)から見極める
ブレイクとムートンは、これら2つの軸をそれぞれ1から9までの9段階で数値化しました。
$9 \times 9 = 81$ の格子(グリッド)を作成し、リーダーが現在どの位置にいるかを測定します。この客観的な自己評価・他者評価を通じて、「理想のリーダー像に近づくための自己革新」を目指すのがこの技法の目的です。
3. 典型的な5つのリーダーシップ類型
81の格子のうち、特にリーダーシップの特徴が顕著に現れる5つの類型を詳しく見ていきましょう。
1・1型:放任型リーダー(消極マネジメント)
- 業績への関心:1(低)
- 人間への関心:1(低)
業績にも人間にも無関心な状態です。「責任を取りたくない」「最低限の仕事だけをこなせばいい」というスタンスであり、組織としては機能不全に陥りやすいタイプです。経営者がこの状態になると、組織の崩壊は免れません。
1・9型:人情型リーダー(カントリークラブ・マネジメント)
- 業績への関心:1(低)
- 人間への関心:9(高)
「みんなが仲良く、楽しく働ければそれでいい」というタイプです。職場環境は良好ですが、業績に対するプレッシャーが極めて弱いため、ぬるま湯組織になりがちです。短期的な満足度は高いものの、市場競争に勝てず、結果的に従業員を守れなくなるリスクがあります。
9・1型:権力型リーダー(権威服従マネジメント)
- 業績への関心:9(高)
- 人間への関心:1(低)
「つべこべ言わずに結果を出せ」という、成果至上主義のスタイルです。人間を目的達成のための道具(リソース)と見なす傾向があります。短期的には劇的な業績向上が見込めますが、部下の不満が蓄積し、メンタルヘルス不調や突然の大量離職を招く危険性があります。
5・5型:妥協型リーダー(中道マネジメント)
- 業績への関心:5(中)
- 人間への関心:5(中)
業績と人間のバランスをうまく取ろうとするタイプです。日本企業に非常に多いスタイルで、「波風を立てずに、そこそこの成果を出す」ことに長けています。しかし、悪く言えば「どっちつかず」であり、大きなイノベーションや劇的な目標達成には至りにくい傾向があります。
9・9型:理想型リーダー(チームマネジメント)
- 業績への関心:9(高)
- 人間への関心:9(高)
ブレイクとムートンが**「最も理想的なリーダーシップ」**として定義したのが、この9・9型です。
高い目標を掲げつつ、その達成を部下自身の成長や満足感と結びつけます。信頼関係に基づいたチームワークを構築し、相互尊重の中で最大のパフォーマンスを発揮させるスタイルです。
4. 中小企業経営者が「9・9型」を目指すべき理由
リソースが限られている中小企業や個人事業主にとって、なぜ9・9型が重要なのでしょうか。
従業員のエンゲージメント向上
今の時代、給与だけで人を繋ぎ止めることは困難です。「自分の成長が会社の業績に直結している」と実感できる9・9型のマネジメントは、従業員のエンゲージメントを最大化し、定着率を高めます。
自律型組織への進化
9・9型リーダーは、命令ではなく「目的の共有」によって人を動かします。これにより、経営者が細かく指示を出さなくても現場が自ら考えて動く「自律型組織」への脱却が可能になります。
5. マネジリアル・グリッドを活用した自己変革ステップ
自分の型を知るだけでは意味がありません。それをどう変革につなげるかが重要です。
- 自己診断を行うまずは自分がどの型に当てはまるか客観的に振り返ります。経営者であれば、社外取締役や信頼できる幹部、あるいは匿名アンケート(360度評価)で部下からの評価を確認しましょう。
- 不足している要素を特定する「9・1型」に近いならコミュニケーションスキルの向上を、「1・9型」に近いなら数値管理の徹底を、というように、不足している軸を明確にします。
- 具体的な行動目標を立てる「週に一度、全部署のメンバーと1on1を実施する(人間への関心)」や「月次のKPI進捗管理をデジタル化し、週次でフィードバックする(業績への関心)」など、行動レベルで目標を設定します。
6. まとめ
マネジリアル・グリッド論は、単なるリーダーシップの分類法ではありません。経営者が自身の盲点に気づき、業績と人間関係の双方を高い次元で両立させるための「地図」です。
理想とされる「9・9型」への道のりは容易ではありませんが、一歩ずつ自分のスタイルをアップデートしていくことで、必ず組織は変わり始めます。
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次に取り組むべきアクションとして、まずは貴社幹部メンバーと「自分たちは今、どのグリッドにいると思うか?」を話し合ってみてはいかがでしょうか?
[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]
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