「年収の壁」を読み解く1~130万円の壁
社会保険制度における「年収の壁」とは、給与収入が一定の金額を超えると、社会保険の加入条件や扶養の範囲が変わることを指します。特に、130万円の壁は、配偶者の扶養から外れ、自身で社会保険に加入しなければならない点で注目されます。この壁を理解することは、日本で働く人々にとって、税金や社会保険料の負担、家計の管理において非常に重要です。
130万の壁とは何か
130万の壁とは、給与収入が年間130万円を超えると、配偶者の社会保険の扶養から外れることを意味します。これは、配偶者が社会保険の被扶養者資格を失い、自分自身で社会保険に加入し、保険料を納めなければならなくなる点で重要です。給与収入が130万円以下であれば、配偶者の社会保険の扶養に入ることが可能であり、保険料の負担がない、または少ない状態を維持できます。
扶養から外れる影響
給与収入が130万円を超えると、会社の健康保険制度に加入するか、会社に健康保険制度がなければ、自身で国民健康保険と国民年金に加入する必要があります。国民健康保険料は住んでいる自治体や年齢によって異なりますが、国民年金保険料は一定です。2023年度の国民年金保険料は月額16,590円であり、国民健康保険料と合わせて月額約3万円の保険料が発生すると仮定すると、年間で約36万円の保険料が必要になります。
給与収入が130万円の場合はこれらの負担がないため、131万円を超えると手取り額は大幅に減少します。
130万円を超えるなら150万円以上稼げ!
給与収入が130万円をわずかに超えて、会社の健康保険制度に加入する場合、手取り額の減少を回避するためには、給与収入を約150万円以上にすることが推奨されます。これは、保険料の支払いや税金の負担を考慮した上で、実際に手元に残る金額を増やすためです。特に、パートやアルバイトをする場合、給与収入が130万円を超えると自動的に社会保険の加入条件に該当するわけではなく、勤務日数や時間によって異なりますが、給与収入が約150万円以上になると、経済的に見合った労働が可能になるといわれています。。
なお、ご自身で国民健康保険と国民年金に加入して保険料を納める場合は、給与収入約170万円以上を目指すと手取り額が上回り「働き損」を防ぐことができるといわれています。
まとめ
130万の壁は、日本の税制と社会保障制度の複雑な相互作用を示しています。この壁を超えることで発生する経済的影響は、個人や家庭によって大きく異なります。したがって、自身の給与収入がこの範囲に近づいている場合は、社会保険料の負担、税金、そして家計全体のバランスを慎重に考慮することが必要です。また、パートやアルバイトをする際には、勤務条件や給与収入が社会保険の加入条件にどのように影響するかを理解し、適切な収入の目標を設定することが重要です。