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2025-04-10

成長を後押しする「業績連動型賞与」とは?

はじめに

「社員のモチベーションを高めながら、会社の業績も向上させたい」と考える中小企業経営者や個人事業主の方に注目されているのが「業績連動型賞与」です。これは、あらかじめ定めた業績指標に応じて支給額が変動する賞与制度で、成果主義やインセンティブ制度の一環として導入が進んでいます。

本記事では、業績連動型賞与の基本的な仕組みから導入メリット、具体的な設計・運用方法、導入時の注意点までを網羅的に解説します。中小企業における実践的な活用方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。


業績連動型賞与とは?

業績連動型賞与の定義

業績連動型賞与とは、会社全体または特定の部門の業績に連動して支給額が決定される賞与制度のことです。一般的な賞与が固定額であるのに対し、業績連動型は業績の良し悪しに応じて支給額が変動するのが特徴です。

よく使われる業績指標

支給額の判断に使用される業績指標は多岐にわたります。以下は主な指標です:

  • 経常利益
  • 営業利益
  • 売上高
  • 粗利益
  • 当期純利益
  • EBITA(利払前・税引前・償却前利益)
  • EVA(経済的付加価値)
  • フリーキャッシュフロー

賞与額の決定方法

例えば、経常利益が5,000万円を超えた分の10%を賞与原資とし、各社員に役職や貢献度に応じて配分する方式が一般的です。シンプルな計算式と、透明性の高い評価制度が重要です。


業績連動型賞与を導入するメリット

モチベーションの向上

業績に応じて報酬が増えるという仕組みは、社員のモチベーションを大きく引き上げます。努力が報われる仕組みとして、業務への主体性や生産性の向上が期待できます。

業績向上への直接的な効果

社員が会社の収益向上に直接関心を持つようになることで、コスト意識や効率化への取り組みが活発になります。経営目標の達成が現実的なものになります。

固定費の抑制

賞与が業績に応じて支払われるため、業績が悪化した際の人件費を自動的に抑えることができます。これは中小企業にとって大きなメリットです。


導入時の設計ポイント

業績指標の選定

業績指標は会社の経営目標と合致するものを選定することが重要です。営業利益やフリーキャッシュフローなど、実際の経営改善に直結する指標を選びましょう。

配分ルールの明確化

賞与原資の計算方法、個人への配分基準(役職、評価スコア等)は明文化し、社員に説明責任を果たしましょう。透明性が高い制度運用が信頼を得ます。

社内理解の醸成

制度導入前には社員への説明会を実施し、理解と納得を得ることが成功のカギです。不安や誤解をなくすための質疑応答の場も設けましょう。


実務での活用例

事例1:営業利益を基準とした支給

ある製造業の中小企業では、営業利益が前年比110%を超えた場合、その超過分の5%を賞与原資とし、部門別に配分しています。これにより部門間の協力体制が強化され、全社的な業績向上に繋がっています。

事例2:フリーキャッシュフローを活用

資金繰りに課題のある企業では、フリーキャッシュフローを指標に採用し、現金収支を重視した経営体制に切り替えたことで、資金管理能力の強化と社員の財務意識向上を実現しました。


導入時の注意点

評価の不公平感を避ける

定量的な業績指標に偏りすぎると、定性的な貢献が評価されず、不公平感が生まれる可能性があります。目標管理制度(MBO)などと併用し、バランスを取ることが大切です。

短期業績への偏重

業績連動型賞与は短期的な成果に偏りがちです。中長期的な成長や人材育成とのバランスを意識しましょう。

法的リスクへの配慮

就業規則や賃金規定への明記、契約書への記載など、法的な整備を怠らないようにしましょう。社会保険料の計算にも影響するため、専門家への相談が推奨されます。


まとめ

業績連動型賞与は、中小企業にとって業績向上と人材活用の両立を図るための有効な手段です。適切な設計と運用によって、社員のモチベーションを高め、持続的な成長を実現することが可能になります。

導入を検討する際には、業績指標の選定、配分ルールの明確化、社内説明といった基本を押さえることが重要です。また、就業規則や人事制度全体との整合性も意識し、必要に応じて専門家と連携しましょう。

今すぐ取り組むべきこと

  • 自社に合った業績指標を洗い出してみる
  • 賞与制度の現状を見直してみる
  • 社労士や人事コンサルタントに相談してみる

業績連動型賞与の導入は、経営者としての視野を広げ、会社の未来を形作る第一歩です。ぜひ、この機会に一歩踏み出してみてください。

[監修:社会保険労務士・中小企業診断士、島田圭輔]

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