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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2024-02-09

「年収の壁・支援強化パッケージ」(配偶者手当への対応)

政府が提案する「年収の壁・支援強化パッケージ」における「配偶者手当への対応」は「企業の配偶者手当の見直しの促進」、特に中小企業においても、配偶者手当の見直しが進むよう、
(1) 見直しの手順をフローチャートで示す等わかりやすい資料を作成・公表した。
(2) 中小企業団体等を通じて周知する。
等の対応が取られた。
今回は配偶者見直しの背景と現状について解説します。

配偶者手当の背景

日本では長年、配偶者控除という税制上の制度がありました。これは、一定の収入以下の配偶者を持つ税金を払う人が税額控除を受けられるというものです。しかし、この制度には「年収の壁」と呼ばれる問題がありました。これは、配偶者の年収が一定額を超えると控除が受けられなくなるため、それを避けるために配偶者がフルタイムで働くことを躊躇するという状況を生んでいました。特に女性の就労に大きな影響を与えており、女性の社会進出やキャリアアップの妨げとなっているとの指摘がありました。

政策の見直し内容

政府は、この「年収の壁」を解消するため、「配偶者手当への対応」として以下のような対応を行っています。

  1. 配偶者控除の対象となる年収の見直し: これにより、より多くの夫婦が税制上の恩恵を受けられるようになります。配偶者控除の見直しは、配偶者がより多く働くインセンティブを提供します。
  2. 所得税と住民税の調整: 所得税の配偶者控除と住民税の配偶者特別控除の調整を行い、よりシンプルで理解しやすい制度にすることが目指されています。
  3. 社会保険料の負担軽減: 配偶者の社会保険の自己負担額を軽減し、二次的な「年収の壁」の解消を図ります。これにより、健康保険や年金保険の負担が軽減されることが期待されます。

見直しの影響

この政策の見直しは、日本の労働市場において複数の肯定的な影響をもたらすと予想されます。

  • 女性の労働参加の促進: 「年収の壁」が低減されることにより、特に女性のフルタイムでの就労が促進されることが期待されます。これにより、女性のキャリア形成と経済的自立が支援されます。
  • 家庭の所得増加: 夫婦が共に働きやすくなることで、家庭全体の所得が増加し、消費の拡大にも寄与することが予想されます。
  • 労働市場の柔軟性の向上: 労働参加意欲の増加により、労働市場全体の柔軟性が向上し、経済全体の活性化につながると考えられます。

まとめ

これらの政策は、特に女性の就労を促進し、経済活動を活性化させることを目的としています。しかし、この政策の成功は、実施にあたっての細かな調整や、労働市場や家庭内での変化にどのように対応するかにも依存します。政府としては、この政策がもたらす影響を注視し、必要に応じてさらなる調整を行うことが求められるでしょう。

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