2024-03-22
技能実習制度から「育成就労制度」へ
ここでは、外国人技能実習制度に代わる新たな枠組みとして政府によって閣議決定された「育成就労制度」の概要と目的、制度内容、期待される影響などを網羅的に解説します。
育成就労制度の背景
日本では、技能実習制度を通じた国際貢献と、国内の労働力不足の解消が双方向の目的であったが、実際は人手不足の解消という面での利用が目立っていました。しかし、技能実習生に対する待遇や労働環境の問題、悪質なブローカーによる問題などが指摘されてきました。これらの問題を背景に、政府は技能実習制度を見直し、未熟練の外国人労働者を正式に受け入れ、育成する新制度「育成就労制度」の創設に至りました。
制度の概要
育成就労制度は、外国人労働者を即戦力としてではなく、将来の熟練労働者として育成することを目的としています。具体的には、在留期間を原則3年とし、この期間内に特定技能1号の水準までの技能を育成します。さらに特定技能1号を経由して、特定技能2号の試験に合格すれば、家族帯同での無期限就労が可能となります。
制度の運用と改正ポイント
- 在留資格の変更: 技能実習の在留資格を廃止し、育成就労を新設します。
- 在留期間: 原則3年間で、特定技能1号へのステップアップを目指します。
- 転籍の緩和: 職場変更が可能な期間を1〜2年に緩和し、柔軟なキャリア形成を支援します。
- 不法就労対策: 不法就労を助長する行為に対する法定刑を強化し、悪質なブローカーへの対策を厳格化します。
- 監理支援機関: 監理団体を監理支援機関として改称し、ガバナンス強化のための外部監査人の設置を義務付けます。
- 永住許可制度の見直し: 永住者の在留資格取り消し要件を拡大し、税金や社会保険料を故意に支払わなかった場合を含めるなど社会的責任を強化します。
期待される影響
育成就労制度の創設により、外国人労働者の育成と受け入れ体制が整備され、国内の人手不足問題に対する一つの解決策となることが期待されます。また、労働者の技能向上を通じたキャリア形成のサポート、悪質なブローカーによる問題の解消、永住許可制度の見直しによる社会的責任の強化が挙げられます。
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