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【徳島を拠点に全国対応】企業の経営課題を共に解決すべく専門家(社会保険労務士/中小企業診断士)として活動しています。
2024-03-25

退職に関する法律的枠組みとアドバイス

退職に関して、日本の法律では、労働者の退職の申し出に対する具体的な規定が労働基準法には設けられていません。このため、一般的には、企業が設定した就業規則や契約に基づいて退職手続きが行われます。しかし、就業規則に退職に関する規定がない場合は、民法が適用されることとなります。

民法では、雇用契約の期間の定めがあるかないかによって、退職に関する規定が異なります。

期間の定めがない場合(正社員など)

期間の定めがない雇用契約では、民法627条1項により、いつでも契約解約の申し入れが可能です。ただし、解約の申し入れを行った日から2週間を経過することで、雇用契約は終了することになります。これは、即時に退職することができないという意味であり、双方にとって一定の準備期間を設けることを示しています。

期間の定めがある場合(有期契約など)

一方で、期間の定めがある雇用契約(例えば1年契約など)の場合、民法628条に基づき、やむを得ない事由がある時には、契約の直ちに解除が可能です。しかし、この「やむを得ない事由」が当事者の一方の過失によって生じた場合は、相手方に対して損害賠償の責任が生じることがあります。これは、雇用期間中の任意退職に際して、その理由や状況が重要な判断基準となることを意味しています。

実務上のアドバイス

退職を希望する労働者が直面する一般的な問題には、「会社が退職を認めてくれない」というものがあります。このような場合に、私が提供するアドバイスは、まず、雇用契約の期間の定めがどうなっているかを確認することです。期間の定めがなければ、労働者はいつでも退職の申し入れをすることが可能であり、就業規則を確認した上で、必要な退職通知期間を遵守することを勧めています。そして、退職意志は書面で提出し、可能であれば内容証明郵便や簡易書留等の送達確認ができる方法を利用することを推奨しています。

退職に関するトラブルは多くの場合、民事的な問題として扱われるため、最終的には裁判所での解決を余儀なくされる場合もあります。しかし、実際には、退職を巡る裁判が頻繁に行われることは稀であり、多くの場合は双方の合意により解決されます。これは、労働者と雇用主双方にとって時間的、経済的負担が大きいためです。

ここで注意したいのは退職の意思の伝え方です。口頭ですと「言った・言わない」の問題が起きてしまいますので、できれば書面で、内容証明郵便や簡易書留等で郵送することがおすすめです。

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