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2024-02-07

「年収の壁・支援強化パッケージ」(106万円の壁)

パート・アルバイトの社会保険適用拡大によるいわゆる「年収の壁」に対して、政府は「年収の壁・支援強化パッケージ」を公表しています。今回はそのうちの「106万円の壁」の対応策について解説します。

社会保険適用促進手当とは

「社会保険適用促進手当」とは、短時間労働者への社会保険の適用を促進するための制度です。この手当は、新たに社会保険に加入する労働者に対し、その保険料負担を軽減する目的で事業主から支給されるものです。この制度は、労働者の社会保障を強化し、より多くの短時間労働者が社会保険の恩恵を受けられるようにすることを目指しています。

社会保険適用促進手当の特徴

社会保険適用促進手当は、給与や賞与とは別に支給されます。支給される金額は、新たに発生した保険料の本人負担分相当額を上限として定められており、特例措置により、この手当の支給分は保険料の算定基礎に含めないことが可能です。これは、手当が労働者の実質的な負担を軽減するために設けられているためであり、給与に加算されることなく直接保険料負担の軽減に寄与します。

対象となる労働者

この手当の対象となるのは、厚生年金保険の被保険者数が一定基準以上(2024年10月からは常時51人以上)の事業所に勤務する短時間労働者です。2023年9月以前から社会保険に加入している労働者も、一定の条件下ではこの手当の対象となり得ます。ただし、標準報酬月額が一定額以上の高収入労働者は、手取り収入が106万円以上になるため特例措置の対象外となります。

手当の支給条件

手当の支給には、就業規則への規定や労働基準監督署への届出など、一定の手続きが必要とされます。特に、常時10人以上の事業所では、これらの手続きを遵守することが求められます。手当の支給期間は2年間に限られ、この期間が終了すれば支給も終了します。また、特例措置の対象外となる支給や、社会保険料相当額を超える支給は別の名称で行う必要があります。

キャリアアップ助成金との関連

キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」とは、パートタイマーやアルバイトなどの短時間労働者を新たに社会保険に加入させ、さらにその収入を増加させる取り組みを行う事業主を支援する制度です。この助成金は、労働者一人当たり最大50万円が支給され、事業主の事務負担の軽減も図られています。

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